60歳からの眼差し

人生の最終章へ、見る物聞くもの、今何を感じるのか綴って見ようと思う。

マスクダイエット

2017年02月10日 08時33分27秒 | 読書

 本屋の中を見て回っていて、《マスクつけるだけダイエット》という本が目に止った。「ハテ、どういうことだろう?」と思いパラパラと本をめくってみた。要旨はこうである。米国規格のN95に準じた素材を使用し、0.1μmの粒子を98.9%以上カットできるマスクを使う。当然メッシュが細かいから呼吸するのに負荷がかかる。この呼吸抵抗は一般のマスクの4倍、それに伴い肋骨にある筋肉や横隔膜などの呼吸筋を鍛えることになり、それが呼吸機能を向上させ基礎代謝をあげることになる。・・・・・そういう理屈である。本の右下に「2週間で-3.1kg!インフルエンザ、花粉、PM2.5もブロック!」、左下に「高級マスク付き(2枚)」と書いてあった。定価1000円

 もともと面白い発想や道理に適っていると思われるものには興味が向く方である。元来マスクはうっとおしいので使う習慣がない。しかしマスクで本当に効果があるのか?、興味を持ったものは自分で実践してみなければ気がすまないタイプでもある。今の時期インフルエンザや花粉症でマスクの人は大勢いる。マスクを付ける目的は違うが、その中に紛れれば目立つことはないだろう。早速試してみることにした。

 付け始めてみると確かに息苦しい。特に歩いているときなど常に自分の呼吸を意識している感じになる。普通1回の呼吸で350ml、1分間に16回を呼吸するとして1日2000回以上、1日約7000リットルの空気を出し入れしていることになる。本では就寝時などを除いて1日8時間程度マスクをかけることを推奨している。それでも7000回の呼吸に負荷がかかれば、それだけ余分なエネルギーは使うし、それだけ呼吸筋は鍛えられるであろう。しかし自分に花粉症があればマスクのうっとおしさも我慢できるなろうが、ダイエット目的だけでそのうっとおしさに耐えて継続できるかどうか、ここがこのマスクダイエット法のポイントである。
 
 
※ 著者は呼吸器内科のスペシャリストということで、呼吸に関するうんちくが書いてある。その中からいくつか抜粋してみる。
 
 肺は、自分でふくらんだり縮んだりすくことは出来ない。呼吸を行うための筋肉が伸縮して、肺をふくらませたり縮んだりする。呼吸を行うために使う筋肉のことを総称して「呼吸筋」と言う。主な筋肉として「横隔膜」と「外肋間筋」、補助的なものとして「腹直筋」や「胸鎖乳突筋」などがある。呼吸筋は20代をピークに、だんだんと衰えてくる。
 
 呼吸筋が衰えると、少しの運動で息苦しくなったり、ウイルスを吐き出す力が弱まり病気のリスクが高まってくる。呼吸筋を鍛えることは可能で、その状態は肺活量を検査することで「肺年齢」として把握できる。
 
 胸式呼吸は主に肋間筋の収縮によって行う呼吸のことで、胸を広げる呼吸法のため、背骨た肋骨、胸骨の関節を柔らかくする。また胸式呼吸にかかわる筋肉の収縮は交感神経を活性化させるため、身体を目覚めさせるなどの効果がある。しかし過剰に行うと全身を緊張させ、肩こりや首のこりにつながる。一方腹式呼吸はおもに横隔膜の収縮によって行う呼吸。この呼吸法だと横隔膜の動きによって静脈やリンパ管が圧迫されたり解除されたりする。このことで血液やリンパの流れがよくなり、むくみが解消されたり内臓が刺激され副交感神経が活性化して全身がリラックスする。
 
 鼻呼吸と口呼吸では、身体のために良いのは鼻呼吸です。なぜなら鼻呼吸は、鼻毛や鼻孔の粘膜がフィルターとなって、不衛生な外気や異物の侵入をブロックしてくれる。また冷たく乾いた外気を適度に温めたり、湿らせる役割も果たす。一方口呼吸は外気や異物が直接体内に入るだけではなく、口の中が乾くことで口臭を招き虫歯の原因にもなる。
 
 インフルエンザウイルスの大きさは0.1μm(10000分の1mm)である。咳やくしゃみに伴い飛散するウイルスは水分に覆われ5μm程度になる。一般のマスクは、約5μmの粒子をブロックできるから、くしゃみや咳に伴い飛散するウイルスはブロックできる。またスギ花粉の粒子は20~40μmでこれもブロックできる。しかし空気中に浮遊するウイルスやPM2.5(2.5μm)はブロックできない。煙草の煙(副流煙)もPM2.5の仲間、粒子の大きさは1μmとさらに小さく、当然ながら一般のマスクでは侵入を防ぐことはできない。

 米国規格のN95マスクは0.1μmの粒子を95%以上カットできる規格のマスクである。