60歳からの眼差し

人生の最終章へ、見る物聞くもの、今何を感じるのか綴って見ようと思う。

脱サラ

2017年04月07日 08時41分43秒 | 日記
 以前、このブログでも紹介したことがある昔の仲間がやっているパスタの店に行ってみた。7年半前、脱サラをして奥さんと2人で始めた小さな店である。開店当初は1人のお客さんも入らない日もあり、寸胴鍋に沸かしたお湯をまっさらのまま捨てた時もあったそうである。そんな不安にさいなまれた日々から紆余曲折があり、今は落ち着いてきているようである。
 
 店はカウンターが6席、テーブルが2卓で10数人でいっぱいになる。店内は綺麗に整理整頓されていて、鉢植えの草木が置いてあり家庭的な雰囲気である。時間をずらしあえて閉店間際の1時半に入ったので、店にはお客さんはテーブル席に2人だけであった。私はどちらかと言えばトマト味が好みなので、「海鮮と季節の野菜、フレッシュトマト」を注文した。彼は化学調味料を使わず、素材そのものを生かし自然でまろやかな美味しさを引き出すことにこだわっている。食べ終っての感想は、「久々に美味しいものを食べた!」という満足感である。これがこの店の魅力なのであろう。
 
 
 
     店内は彼の好みで小物や鉢植えの草花が所狭しと置いてある。
 
 
 
         海鮮と季節の野菜 フレッシュトマト 1280円
 
 彼は55歳で脱サラし今は63歳である。開店当初は昼と夜の営業をやっていたが、年齢と共に無理が利かなくなったことと、夜の営業が不安定で効率が悪いことなどから昼間だけの営業に絞った。昼間の営業は11時15分から2時15分の3時間、しかも営業日は週休2日制で4月は21日間の営業で9日休みである。それでも1日平均3万円は売り上げるらしい。したがって月商は60~80万、家賃諸経費を引いて手取りを半分として30万以上あることになる。基礎年金ももらっているそうだから、夫婦2人で暮らしていくには充分である。彼曰く、「サラリーマンで人に使われているより、はるかに気楽で充実している」という。あとはどこまで体力が続くかである。
 
  
 
                          月曜日木曜日定休で最終週は3連休

 私が食べ終わる頃、2時の閉店間際に2組のお客さんが入ってきた。隣に座った1組は40代の夫婦、彼らは2種類メニューでそれぞれ大盛りを注文した。そして、ある程度食べたところで、二人は料理を交換して今度は違うメーニューを食べ始める。たぶん常連のお客さんで、それぞれ違う味をたっぷりと堪能してみたかったのであろう。それほど、味には魅力がある。

 では、なぜここまで人気店になったのだろうかと考える。一つは彼の料理に対するスタンスである。化学調味料を使わず素材の美味しさを引き出した美味しさが評価されたのだろう。二つ目が気取らず家庭的な雰囲気が店に安心感と親しみをもらたらしているように思う。そして三つ目が毎月季節の素材を使った旬のメニューを提案し、お客さんを飽きさせず、次に来店することへの期待につながるのであろう。下の写真は彼のフェイスブックから拾った、ここ直近5ヶ月の旬メニューです。
 
  
 
            4月 生海老と春キャベツのフレッシュトマト
 
  
 
           3月 蛤とズワイガニのフレッシュトマト
 
  
 
            2月 ネギとベーコンの焼きチーズ
 
  
 
             1月 野沢菜と桜海老の和風味
 
  
 
              12月 牡蠣のバター醤油
 
※本来なら宣伝のために、店の場所を紹介したいしたいところですが、彼は「忙しくなるのは嫌だ!」ということで、TVでの取材も断ったほどです。ということなので、紹介は遠慮させていただきます。