2月26日(金)
先日朝日新聞1面の「天声人語」欄に、アリの生態について書かれていた。記事の内容によれば、アリの集団の中には働かないアリが常時2~3割存在するらしい。で、その怠け者アリが全くの役立たずかと言えばそうでも無く、実験によれば勤勉アリだけの集団と怠け者の混じった集団を比較すると、後者の方が長生きするそうだ。
その理由は、勤勉アリだけの集団は皆一斉に際限なく働き、結果皆一斉に疲れ果て集団は壊滅してしまうとの事。怠け者アリは勤勉アリが疲れた時、代りに働き手となって仕事をカバーしてくれるので、長期的にみれば集団にとって実に有用な存在なのだという。
そして人間界に目を転じると、働きの悪い社員は「ローパフォーマー」と呼ばれ、こういう無能社員をいかに退職させるか人材会社は各企業に伝授しているとの事だ。しかしあまりにも度の過ぎた効率を追求すると、結果組織は逆にダメージを受けてしまうのではないか。もっと長期的な視点が必要ではないですか。と天声人語は訴えている。
振り返ってみれば、現役時代の私も不器用で要領が悪くオマケに社交性協調性共に著しく低かったので、上司の目からきっと典型的ローパフォーマーと思われていたに違いない。当時の同僚も「アイツに比べたら」と私を反面教師に我が身を励ましていたのではなかろうか。そんな私でも時代が良かったから定年まで何とか働き遂せる事ができた。
そんな私が取りあえず今も健常な日々を過ごしていけるのは、怠け者の常で度の過ぎた頑張りをせず程々に生きてきたからではと思わぬでもない。マア過ぎてしまえば全てご破算、人生ケセラセラである。