風に乗って♪

自然観察が趣味の主婦です。おもしろそうな事は何でもやってみたくて、好奇心のおもむくまま暮らしています。

アゲハヒメバチ!ナミアゲハ「山椒ちゃん」羽化せず・・蜂が出てきました

2022年07月05日 | 寄生昆虫
ミカンの葉でみつけたナミアゲハの幼虫が羽化したのが
6月23日でした。


山椒の葉にいた幼虫も翌日サナギになったのに、一向に羽化しません。
うちに来た時の「山椒ちゃん」


園芸店の山椒に農薬があったのかな、それとも個性なの?・・・
なんて、いろんな可能性を考えていましたが
サナギの生死判定のひとつに、筆でくすぐると動くというのがあって
さっそくサナギのお尻をコチョコチョしてみましたが、ピクリとも動きません(´A`)
死んでしまったのかな(´A`)
でも5日前に撮った写真のサナギの色はとても綺麗で、変色もせず
湿っぽくもなっていないし、何でだろう?


筆を持ったまま、またアレコレ思案していると
飼育ケースの中から外をうかがう、この子とバッチリ目が合いました。


蜂・・・だよね・・・
突然のことで、しばらくかたまりましたが、ここに蜂が居るという事は
サナギから出てきたということで、そうだとすればアナタは寄生蜂なのね(ll゚д゚)
6月28日、ナミアゲハが蛹化して18日後のことです。


蝶のサナギからハエの幼虫が這い出してくるのには、もう慣れっこでしたが
こんな大きな蜂の成虫は初めてです!
羽化したてで、まだキョトンとしている蜂を透明な容器に移してベランダへ行きました。
日の光の下で見ると、ウエストがくびれていて、体と翅はべっ甲色でとてもきれい。
丸い真っ黒な可愛い目をしています。


なんていう名前なのか調べてみました。
「アゲハチョウ 寄生 蜂」で検索したら「アゲハヒメバチ」という名前がすぐに分かりました。
この子はアゲハ蝶専門に寄生する蜂でした。


ところで、蜂の食性は、大まかに4つのタイプに分かれているそうです。
まず、幼虫が葉を食べる「ハバチ」の仲間、それから
花の蜜や花粉を餌にする「ミツバチ」や「ハナバチ」。
他の昆虫を狩ってきて幼虫のエサにする「スズメバチ」「アシナガバチ」など
そして、他の昆虫の体内に寄生して、最終的には宿主を殺してしまうのが
今回アゲハチョウのサナギから出てきた「ヒメバチ」など寄生昆虫の仲間です。


人間側からみたら、葉を食べるハバチは害虫、ミツバチは益虫
アシナガバチは、虫好きには天敵で、お花が好きなら頼りになる味方ですね(^m^)
そして、寄生昆虫は・・・
虫好きには憎い敵で、農産物を作っている方々にとっては輝く救世主!
立場によって見方がまったく違うのが面白いです(^_^)

ヒメバチの仲間はとても多くて、世界で60,000種はいると言われているそうです。
日本ではこれまでに、約1,200種あまりが記録されいるのですが
まだ発見されていない種や、分類されていないものを含めると
この2〜3倍はいるだろうと考えられているそうです。
そんなに居るのなら、飼育していた数匹の幼虫が寄生されていても
何ら不思議でも、不運でもないかもしれませんね。


アゲハチョウのサナギには、側面に大きな穴が開いていて
中身は液体も何もない、完全な空っぽになっていました。


サナギの大きさは約3cmで、穴の直径は5mmくらいです。
出てきた蜂の体長は1.5cm、空になったサナギの中で羽化して
翅がちゃんと伸びて飛べるようになってから脱出してくるようです。


「楽しみに待ってたのに、きれいな蝶じゃなくてゴメンね・・・」
こちらを見つめる瞳が、なんだかそう言っているように思えました(^^ゞ
いえいえ、昆虫はどんな種類でも、ちゃんと見ればみんなとても美しい姿をしています。


予想外の出来事というか、想像していなかった結果になりましたが
今回のことで、ヒメバチの生態やその他の生物について
知らなかったことを知る良い機会になりました。
寄生昆虫に対して「気持ち悪い、許せない!」という感情がわいてくるのも自然な事ですが
他の生き物の命をいただいて生きることは、気持ち悪くも酷いことでもない・・・
遭遇するのに慣れてきたせいもありますが、だんだんそんなふうに感じるようになりました(#^.^#)

以上、アゲハチョウのサナギから出てきた蜂さんのお話しでした。
相変わらず長くなりましたが、最後まで読んでいただき
ありがとうございました(^^)/
コメント (6)
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蝶と蛾の越冬サナギから、3種類の寄生昆虫が羽化!

2022年04月25日 | 寄生昆虫
うちで昨年、サナギで越冬したのは
キアゲハ5匹と、道で拾ったセスジスズメ、それからもう1匹は
ガガイモの実をかじっていたチャレンジャー、ヨトウムシでした。
全部で7匹いましたが、サナギになって早々、キアゲハから寄生バエの幼虫が出てきて
2匹は冬を越せませんでした。
前回のブログの最後に、「びっくりする新な動き」があったことと
「誰が羽化するのか?」と書いたのですが、今日その答えが出ました。
結論から言うと、羽化できたのは寄生昆虫のみでした!
美しい蝶が見られず残念でしたが、寄生する昆虫も命に変わりはなく
自然界の中ではなにかしらの役割があるはずです(^-^)ゝ

まずは、びっくりする新たな動きから・・・
4月10日、朝起きたら寄生バエのサナギが小箱から外へ移動していました!


よく見ると、あっちにも、こっちにも。


サナギって歩けるの?
以前、コウモリガのサナギが巣の中を移動するのを読んだので
それもあるのかもと、頭の中が??のままで仕事へ行き、夕方帰宅してから
冷静になってサナギの数を数えて気付きました。
数が増えてる・・・
まだ黒くなっていないものあるし、どうなってるの?


寄生バエは、5か月近くサナギの体内に留まり、冬を越し春になってから這い出してきたようです。
私の短い飼育経験の中ですが、これは初めての体験で本当におどろきました。


秋のうちにサナギになったのが6個、4月になって出てきたのが5個。
どれが誰から出てきたのかは謎です。
この中で、どのサナギが生きているのかも分からないけど
毎日飼育ケースを観察(見張り)しつづけました。



そして今日!ついに飼育ケースの中で動くものを見つけました。
ブンブンいっているので、蝶じゃないのはすぐに分かりました(^^ゞ


中にいたのはお馴染みの「ブランコヤドリバエ」と、ひと回り大きなハエと
それから、これは何??驚く程大きな昆虫がいました!


外から紛れ込んだと思うほど大きい。
飼育ケースから慎重に透明な容器に移しました。
蜂?


黒くて背中に白い点があります。
その特徴で検索したら「シロスジトゲヒメバチ」が出てきました。


触角の中央辺りが白くて、背中にも白い点があり
後ろ足の節にトゲがあるのが特徴だそうですが、ヒメバチの同定は難しいそうです。


蝶に寄生するらしいのですが
キアゲハのサナギを調べても脱出した痕跡がありませんでした。


そこで、セスジスズメのサナギを掘り出してみたら・・・
なんと!頭と胴体のつなぎ目辺りがパックリと割れていて、中身は空っぽになっていました。


4月10日、15日前に確認したときは全く普通のサナギだったのに
この中で蜂が育っていたのですね。


ベランダへ出て、空へ放しました。



2種類目、ブランコヤドリバエは背中に4本の黒い筋があるのが特徴です。
ブランコという面白い名前の由来は「マイマイガ」通称ブランコムシに寄生するハエだからだそうです。
マイマイガは5月に大発生する蛾の幼虫で、その天敵がブランコヤドリバエなどの寄生昆虫です。


蝶を育てている人にとっては、ヤドリバエは憎い寄生虫なのですが
野菜や果物の生産者さんにとってこのハエは「生物農薬」になりうる力強い助っ人なのです。
立場が変われば見方も変わりますね(^_^)
研究機関では寄生バエの人工飼育を試みているけど、飼育は難しいようです。
ウチでは今回100パーセントの羽化率なのに、自然界の妙を感じます(#^.^#)


**
そして、最後の1種類は、ブランコさんより一回り大きなハエでした。


サナギの大きさも、ブランコの1.5倍くらいあります。


名前を調べてもハッキリしません。


ヤドリバエ科のハエは多くて種類を同定するのは難しいみたいです。


ハエですが・・・生物としてみると、生きるために無駄のない
美しい形状をしていると思えます。


元気で子孫を増やしてね・・・と言っていいのか分からないけど(笑)
夕日に向かって飛び立っていきました。


キアゲハのサナギをもう一度よく調べたら、胴体に亀裂がみつかりました。
ここからハエの幼虫が出たみたいです。


ハエは丈夫なイメージがあって、放っておいても羽化しそうなのですが
羽化の条件とかあるのかな?そうでもなくて、なかなかデリケートです。
自然界では、這い出た幼虫は土中に潜るのかもしれません。
残りのサナギ(ハエ)はあと9個、続けて観察(見張り)します(^^♪
コメント (10)
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