二大オスカー女優、
ジュディ・デンチ (「恋におちたシェイクスピア」,「プライドと偏見」) と、
ケイト・ブランシェット (「ロード・オブ・ザ・リング」,「バベル」) が
真正面からぶつかり合います。
労働者階級の子ばかりが通う ロンドン郊外の高校で、
歴史を教える オールドミスのバーバラ (デンチ)。
厳格で経験豊富な ベテラン教師ですが、斜に構えた 辛辣な物言いのためか
恋の体験もなく、密かに孤独に 苛まれています。
そこへやってきた 新米美術教師・シーバ (ブランシェット)。
掃き溜めの鶴のような エレガントで美しい彼女は、
ブルジョア階級の育ちで、平穏な家族にも恵まれ、人からも好感を持たれます。
しかし 夫とは20才の歳の差、長男はダウン症で、
40才になっても 一人前になれず、何か満たされない 孤独感を抱いているのです。
そんなシーバに バーバラは関心を持ち、
自分が求めていた 友人だと信じて 接近していきます。
シーバも 人生の先輩バーバラを敬愛し、
自宅に招いたりして、二人の関係は深まります。
バーバラは シーバとの全てを 日記に記し、
そのバーバラの独白を ナレーションとして、映画は進められていきます。
ところが シーバは、15才の教え子と 肉体関係に陥ってしまいます。
バーバラは 失望すると同時に、
シーバの秘密を握ることによって 彼女を支配しようとするのです。
複雑な愛憎が相まみえ、二人のパワーバランスは 揺れながら絡まりあっていきます。
震撼するような音楽は 観る者の心を昂らせ、二人の情念は 激しく錯綜します。
シーバに 欲情さえ感じる バーバラの歪んだ友情。
醜くも凄まじい 妄念を演じる デンチの真骨頂です。
極度に 相手に執着する 捩じれた愛情は、人格障害的な 傾きもありますが、
ラストシーンのバーバラには、思わず 「恐え~!」 と感じてしまいました。