服役中に仮釈放がなく、 刑期を 満期で終えた出所者は、
不況下でもあり、 出所しても 簡単に仕事は見つかりません。
仮釈放が得られなかった 満期出所者は、
服役態度が良好でなかった ということもあるかもしれません。
ある満期出所者 (58才) は、
出所時に持っていた 作業賞与金など約17万円で サウナなどに寝泊まりし、
その後わずか1週間で 強盗殺人事件を起こしました。
仮釈放なら保護観察が付き、 更生保護施設で職探しをしたり、
刑期満了まで定期的に 保護司らが面接したりします。
刑期を終えた満期出所者を、 行政が監視する 法的根拠はありません。
出所から5年以内に 再び刑務所に戻る割合は、
(08年の集計で) 仮釈放者が32%なのに対して、
満期出所者が55%と はるかに高くなっています。
別の満期出所者 (57才) も、 ネットカフェなどを泊まり歩きました。
健康保険なしに 心臓病の診察を受けなければならず、
28万円の賞与金は 見る間に減っていきました。
受刑者支援で知られる 弁護士に電話すると、 生活保護を申請してくれました。
今は 生活保護を受けながら、 清掃の仕事をしています。
満期出所者は、 盗みや無銭飲食を重ねるうち 自暴自棄になり、
凶悪犯罪に走ることもあります。
満期出所者を 社会に軟着陸させる仕組みを、 今すぐ整えなければなりません。
〔 読売新聞 「罪と罰 -- 更生への道」 より 〕