静岡県の93才の女性は、 認知症と診断されました。
翌年春に 階段から落ちて 脳内出血を起こし、 3ヶ月の入院後、
認知症の症状が 進んだ様子が見られました。
そこで家族は、 介護老人保健施設 「ラ・サンテふよう」 に、
女性を短期入所させました。
同施設は、 認知症患者が在宅で過ごす 支援に取り組んでいます。
認知症が進むのを防ぐため、 充分な水分補給を行なうのも そのひとつです。
高齢になると 体内に保持できる 水分が減るうえ、
のどの渇きを覚える 感覚が鈍るため、 脱水を起こしやすくなります。
すると 全身の機能が低下し、 頭がぼうっとしたり、
ひどければ 意識障害が起こることもあります。
標準的な成人の場合、 1日1500ccの 水分が必要ですが、
この女性は700ccしか 取っていませんでした。
同施設では、 デザートに寒天ゼリーを加えたり、
散歩のあとなど 喉が渇いたときに 水分を取ったりしました。
女性は夜よく眠れるようになり、 受け答えもしっかりしてきました。
コーヒーや紅茶, 牛乳, ジュースなど
本人の好みで選ぶと 摂取しやすいといいます。
寒天ゼリーも代用になります。
ただし酒類は、 アルコールを分解するとき 体内の水分を使うので 逆効果です。
適度な運動は 水分摂取や排泄を促します。
夏場は脱水が起きやすいので、特に注意が必要です。
〔 読売新聞 医療ルネッサンス 「あきらめない認知症」 より 〕