「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「再犯が心配」  「支援に理解を」 -- 更生への道 (9)

2010年07月10日 22時09分51秒 | 罪,裁き,償い
 
(前の記事からの続き)

 これまで、 引受先のない仮釈放者の 受け入れは、

 民間の更生保護施設が 担ってきました。

 しかし、 現在104ヶ所で 数が足りない上、

 性犯罪や薬物犯罪の受刑者は なかなか地域の理解が得られません。

 2005年、 民間施設にいた 仮釈放中の男が、

 スーパーで乳幼児ら3人を 殺傷する事件を 起こしたのをきっかけに、

 処遇の難しい人を 国が引き受け、 指導する構想が浮かびました。

 自立センターの第一号は、 地元の反対を受けて、 法務省が代替地を探し、

 昨年6月に開設しました。

 住宅がまばらな 港湾地区です。

 ここでも反対があり、 入所者が通勤するときは、 最寄りの駅まで 車で送迎し、

 休みの日も 近所を一人で 歩かせないようにしています。

 これまで 20人が入所しましたが、 地域とのトラブルは 起きていません。

 民間の更生保護施設の中には、

 当初反対されましたが、 住民の理解を 得つつある所もあります。

 施設を建て替えようとしたとき 反対運動が起き、 20年間 再開できませんでした。

 今は 地域との融和を図るため、 公園清掃を請け負っています。

 入所者の仕事ぶりを見て、 個人で仕事を頼む 住民も出てきました。

 他方、 強い反対を受けた 自立センターでは、

 性犯罪者は 将来も入所させないことを 決めました。

 民間施設で受け入れ困難な人を 監督, 支援するという

 当初の理念は後退しています。

 法務省の処遇企画官は こう話します。

 「満期釈放で 社会に放り出されるより、

 仮釈放して 保護観察官が指導するほうが 再犯の可能性は低い。

 何とか理解を お願いしたい」

〔 読売新聞 「罪と罰 -- 更生への道」 より 〕
 
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