「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

硬膜下血腫による認知症

2010年07月18日 23時15分51秒 | 介護帳
 
 85才のある女性は 庭で転倒し、 右後頭部を強く打ちました。

 こぶはできたものの 出血や痛みはほとんどなく、 気に留めていませんでした。

 ところが 半月ほどすると、

 認知症のような 症状が見られるようになり、 物忘れが目立ってきました。

 歩行も覚束なくなって、 自宅にいるのに  「よその家にいる」 と言い出すのです。

 頭部のCTを撮ると、 大きな血の固まり (血腫) が 見つかりました。

 脳を包む膜 (硬膜) に 血が溜まる 「硬膜下血腫」 でした。

 硬膜下血腫には 急性と慢性があります。

 急性は 交通事故などで頭を強打して 大量出血するもので、 緊急の治療が必要です。

 一方 慢性は、 軽い頭部打撲が 主な原因で、

 数週間~数ヶ月で 血腫がじわじわと大きくなるので、 症状に気付きにくいのです。

 血腫が大きくなるにつれ、 頭痛や歩行障害が起きたり、

 高齢者では 認知症の症状が表れやすくなります。

 女性は 血腫を吸い出す 手術を受け、 約10日で退院しました。

 ただ 10%前後の患者で 再発の可能性があり、

 この女性も 微量の血の塊が見つかって、 再発予防の薬を飲んでいます。

 認知症の症状は かなり良くなり、 おしゃべりやカラオケを楽しんでいます。

 慢性硬膜下血腫による認知症は、 一般的な認知症に比べて 進行が早く、

 「最近急にぼけた」 という場合は、

 しばらく前に 頭を打ったことがないか、 注意してみる必要があります。

〔 読売新聞 医療ルネッサンス 「あきらめない認知症」 より 〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする