自立更生促進センターは、 帰る先のない 仮釈放者が滞在して、
自立の準備をする 国の施設です。
その開所に反対する 地元中学校の保護者会が、
反対の署名への依頼文を 生徒に配りました。
開所を公表していた 保護観察所は、 市教育委員会に 非難の意思を表しました。
「差別と排除の論理を 助長する活動が、
学校現場で行なわれているとすれば、 憂慮せざるを得ない」
センターの場所は 学校が多い地区で、 再犯を懸念する 住民の反対は根強く、
250人がデモ行進を行なうなど、 対立しています。
ある中学教諭は、 開所反対の署名を頼まれましたが 断りました。
「生徒が失敗しても やり直せると信じるのが 教師。
それは センターの理念は同じ」 と 思ったのです。
けれども その後、 友人の女性が 性暴力の被害に遭いかけ、
犯罪は身近でも起きると 実感しました。
「生徒に何かあったら と思うと……」
今は 反対の立場を取っています。
一方、 最初は反対の署名をし、 その後、
窃盗で服役中の男と 面会するようになった人がいます。
男は 帰る場所がなく、
「苦悩を背負っていくのも 私に課せられた試練」 と、
手紙に 罪への悔いをつづります。
「支援がないと 同じことを繰り返してしまうのでは」
その人はそう思い、
センター運営に 協力する会を結成して、 知人らに理解を求めています。
〔 読売新聞 「罪と罰 -- 更生への道」 より 〕
(次の記事に続く)