(前の記事からの続き)
私は初めて、 BPの彼が どれほど苦しんでいたかに 気付いたのです。
いわれのない感情的な非難は、 実際には 私に向けられていたのではなく、
彼自身の羞恥心と、 見捨てられることへの 強い不安によるものだったのです。
彼も犠牲者だったと 気付いた時、 私の怒りの一部は 同情に変わりました。
ネットでは、 自分の信頼を傷つける 嘘を言ったり、
虐待されたと偽の告発をする 配偶者について 語る人たちがいました。
BPの親たちは、 混乱しながらも 愛情を持って、
子供を助けることに 彼らの人生を捧げていましたが、
暗にまたは公然と、 幼児虐待のかどで責められたりしました。
私は BPについてのサイトを立ち上げ、 「ようこそオズへ」 という、
non-BPの人たちのための オンライン・コミュニティを組織したのです。
自分だけの体験だと思っていたことが、
これほど多くの人たちと 共通のものだったと、 大抵の人がびっくりしていました。
ポールと私は、 大量の情報をまとめ、 検討し、 発展させ、
「ようこそオズへ」 の メンバーの意見を聞いたり、
BPの研究家たちとも 分かち合いました。
BPとは 今もなお 論争の余地のある 複雑な概念です。
原因についても 結論は出ていません。
治療に関しても、 研究者たちが 熱心に議論している段階なのです。
BPの発生率は 統合失調症や双極性障害 (躁うつ病) と 大差ないのに、
専門家のほとんどは 充分な教育を受けていません。
本書は 最終的な結論ではありませんが、
BPにも回復の望みがあることを 伝えられるようにと思います。
そして、 あなたが BPと出会って以来、
降りることができなかった 感情のジェットコースターから
降りる手助けになればと 願うものです。
〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕