「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

家族の経験についての考察 (2)

2013年09月25日 20時25分26秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

○ 虐待のスティグマ (偏見) への対応

 BPDへの偏見で、 家族や医療スタッフとの関わりが 歪められることがあります。

 論文や資料には、

 BPDの人に 虐待が行なわれてきたという 仮説が紹介されています。

 それは、 家族の心構えに 強い影響を残します。

 自分が虐待を行なっていないなら、

 他の家族が虐待したのではないかと 疑いの目を向けてしまうでしょう。

 自分と治療者の関係にも 変化を及ぼします。

 治療者が自分を どう見ているか悩むのは、 非常に辛いものです。

 偏見のために 批判的な視線にさらされると、

 家族の孤独と重圧は 計り知れないほど大きくなります。

 疑いという 忌まわしい雰囲気の中で、

 BPDの人の支えになるのは 難しくなります。

○ 家庭環境の中でBPDに対処する

 BPDの人は時々、

 とてもしっかりしていて、 素晴らしい能力を持っているように 感じられるため、

 家族は 当人に何を期待できるのか、 判断に迷うことがあります。

 でも、 自分がもろい患者にとって、 家族が統一して関わることは とても大切です。

 家族は、 課題の優先順位を設定し、 緊急連絡の方法などを 知っておくべきです。

 限界設定をすること, 必要なことを正直に明言するのは、

 考える以上に難しいですが、

 支持的なことと甘やかすことの違いを 理解することが必要です。

 喧嘩して最後通牒を渡すより、

 冷静なときに 必要なことを説明するほうがずっと 容易です。

 決断を下すときは、 全員が それに参加することが必要です。

 家族は、 批判に対して 反応しないことが重要です。

 感情をエスカレートさせず、 注意深く話を聞くことです。

 大きな問題を見いだして、 それに小さなステップで対応するのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より

(次の記事に続く)
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする