(前の記事からの続き)
o 物理的な脳
脳みそが パーソナリティを形成する 役割を担っているのは、
100年以上前から知られています。
19世紀中頃、 ある男性が
爆発事故で 脳に鉄の棒が突き刺さり、 頭蓋骨を貫通してしまいました。
命は取り留めましたが、 彼はパーソナリティが 完全に変わってしまいました。
事故の前、 彼は人格者で尊敬されていましたが、
事故後は、 発作的で不遜で品のない 人間になってしまったのです。
大脳皮質の構造に 損傷を与えたことが分かりました。
BPDの発症は、 脳の 「海馬」 に関係があります。
海馬は、 記憶と、感情に関連しており、
海馬の問題が、 BPDの極端な言動を 説明できるかもしれません。
o 感情脳
扁桃体は辺縁系の中にあり、 感情の中心です。
大脳皮質が 客観的なことを伝えるのに対して、
扁桃体は 感情を生み出すのを助けます。
大脳皮質によって 同じ事実が伝えられても、
人によって 感じることが異なるわけです。
扁桃体は 感情の強さもコントロールしており、 人より感じ方が変わります。
感情は理屈以上に、 私たちが考えるよりずっと 大きな影響力を持っています。
o ティーンエイジャーの物理的な脳
判断を下したり、 衝動的な行動をコントロールする 脳の部分が、
10代ではまだ発達途上にあり、25歳頃までは完全に成熟しません。
若者は 感情について話すのが 難しいのです。
人の顔を見て 感情を判断するとき、
大人が 前頭葉 (脳の論理的部分) を使うのに対して、
若者は扁桃体を使っています。
(次の記事に続く)
〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」 ランディ・クリーガー(星和書店)
〈監訳: 遊佐安一郎〉 より〕