「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

生物学的なリスクファクター (1)

2014年01月23日 20時31分23秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
(前の記事からの続き)

o 物理的な脳

 脳みそが パーソナリティを形成する 役割を担っているのは、

 100年以上前から知られています。

 19世紀中頃、 ある男性が

 爆発事故で 脳に鉄の棒が突き刺さり、 頭蓋骨を貫通してしまいました。

 命は取り留めましたが、 彼はパーソナリティが 完全に変わってしまいました。

 事故の前、 彼は人格者で尊敬されていましたが、

 事故後は、 発作的で不遜で品のない 人間になってしまったのです。

 大脳皮質の構造に 損傷を与えたことが分かりました。

 BPDの発症は、 脳の 「海馬」 に関係があります。

 海馬は、 記憶と、感情に関連しており、

 海馬の問題が、 BPDの極端な言動を 説明できるかもしれません。

o 感情脳

 扁桃体は辺縁系の中にあり、 感情の中心です。

 大脳皮質が 客観的なことを伝えるのに対して、

 扁桃体は 感情を生み出すのを助けます。

 大脳皮質によって 同じ事実が伝えられても、

 人によって 感じることが異なるわけです。

 扁桃体は 感情の強さもコントロールしており、 人より感じ方が変わります。

 感情は理屈以上に、 私たちが考えるよりずっと 大きな影響力を持っています。

o ティーンエイジャーの物理的な脳

 判断を下したり、 衝動的な行動をコントロールする 脳の部分が、

 10代ではまだ発達途上にあり、25歳頃までは完全に成熟しません。

 若者は 感情について話すのが 難しいのです。

 人の顔を見て 感情を判断するとき、

 大人が 前頭葉 (脳の論理的部分) を使うのに対して、

 若者は扁桃体を使っています。

(次の記事に続く)

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」 ランディ・クリーガー(星和書店)
 〈監訳: 遊佐安一郎〉 より〕
 
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