「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

ボーダーの人とノン・ボーダーラインの人の 境界線の問題 (4)

2013年02月06日 22時23分21秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

○ 境界を設ける権利

 多くの人が 自分の感情を、 正当な感情と正当ではない感情に 分けているようです。

 我々の多くは 自分が正当で、 他の人も 自分と同じように反応すれば、

 世界はよくなると 秘かに信じています。

 でも 実際に腹が立ったのだったら、

 それが正当かどうか 論じても意味がありません。

 なすべきことは、 自分がどう感じたかを 相手に伝えることです。

 自分が正しいと分からせなければならないと 思う必要はないし、

 そうすべきでもありません。

 大切なのは、 自分の考えや感情を 明確に述べ、 責任を持つことです。

 他の人にも自分と同じことを 強いるべきではありません。

 人を変えられるという 幻想は捨てなければなりません。

 そうして初めて、 自分を変化させ、

 自分のために 新たな行動を起こすことができるのです。

 一方、 自分がわがままだと思うのも、 陥りやすい罠です。

 境界線を引いたり、 それを守ることは わがままではありません。

 当然のことであり、 必要なことなのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ボーダーの人とノン・ボーダーラインの人の 境界線の問題 (3)

2013年02月05日 21時18分31秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

《 境界線を引くこと 》

 境界がないと、 ボーダーの人の行動は 全くコントロールを失ってしまいます。

 ノン・ボーダーの人は ボーダーの人に非難されることを恐れて、

 自分の要求を一切口にせず、 ボーダーの人の 言うままになることもあります。

 でも あなた自身の境界を 決定することが必要です。

 境界を設けることは、 初めのうちは 恐怖を伴うかもしれません。

 でも境界は 自分のためだけでなく、 ボーダーの人のためにもなるのです。

 境界を設けないと、 事態は悪化するばかりでしょう。

 ノン・ボーダーの人は 自分の要求を全て脇におけば、

 ボーダーの人を “おとなしくさせておく” ことが できると思うかもしれません。

 しかし、 そうはなりません。

 ボーダーの人の苦痛が ノン・ボーダーの人のそれより ずっと大きいと知り、

 助けようとする心意気は立派です。

 しかし 自分を犠牲にすることは、 長い目で見れば 双方のためになりません。

 ボーダーの人は 責任が問われなければ、

 自分の行動が周りの人に どんな影響を及ぼしているか、 顧みることもなくなります。

 ボーダーの人の責任は 彼自身にあると、 彼も周りの人も認め、

 彼が変化しようと思わない限り、 彼は改善しないでしょう。

 ノン・ボーダーの人が 妥当な境界を設け、 自分の人生を生きるようにすれば、

 ボーダーの人と共に生きる チャンスは大きくなるでしょう。

 境界を守ることによって、

 ボーダーの人や家族に対して 役割モデルを示すことになるのです。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ボーダーの人と ノン・ボーダーラインの人の 境界線の問題 (2)

2013年02月04日 21時19分43秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

 ボーダーの人が 自分自身の行動や感情に 責任を取りたがらないのに対し、

 ノン・ボーダーラインの人は 他人の言動に 過度に責任を感じやすい傾向があります。

 なかには、 子供時代に 周りの人たちの世話をする 役割を期待され、

 他人の責任を 担うようになった人がいます。

 彼らは 親の愛情を失わないために、

 自分の要求を 否定しなければなりませんでした。

 そして 大人になっても、 自分の感情を否定し続けます。

 そうすることに慣れ、 それが安全だと思ったからです。

 彼らは自分の境界を 維持することができません。

《 過去から続くシナリオ 》

 ボーダーの人は 自分の苦痛や怒りを、 ノン・ボーダーラインの人にぶつけます。

 過去の痛ましいシナリオを 繰り返し演じていることに気付きません。

 そして時に、 ノン・ボーダーラインの人は 喜んでそれを受け入れます。

 ボーダーの人とノン・ボーダーラインの人は 生き延びるために、

 広大な無意識に根ざした 信念で取引をします。

 ボーダーの人は 自分が切り離されるのは恐ろしいことで、

 身近な人の自立や独立を 諦めさせようとするのです。

 多くのノン・ボーダーラインの人は、

 ボーダーの人のネガティブな反応を 引き起こさないようにします。

 自己主張をすれば関係を失い、 愛されなくなると心配しています。

 ボーダーの人は、 ノン・ボーダーラインの人が わがままで配慮にかけていると、

 巧みに思い込ませます。

 ノン・ボーダーラインの人は 歪んだ現実に適応しているのが、

 分からなくなってしまいます。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ボーダーの人とノン・ボーダーラインの人の 境界線の問題 (1)

2013年02月02日 22時34分32秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 ボーダーの人の中には 子供の時、 身体的または 性的な虐待を受けた人がいます。

 これは 最も恐ろしい境界侵入です。

 虐待, 屈辱, 恥辱は、 個人の境界を酷く損ないます。

 虐待を受けた子は、 自分が身体的・ 感情的にどう扱われるべきか、

 他人とどう交流すべきかが 分からず、 混乱してしまいます。

 自分と他人との間に 強力な壁を作って、 自分を守ろうとすることがあります。

 人と感情を 共有しなくなることもあります。

 他人に対して 開放的になりすぎる人もいます  (性的にも)。

 彼らは、 自分の感情が間違いで 取るに足らないと思うようになります。

 今生き延びること (虐待を避けること) に集中し、

 アイデンティティの大切な発達段階を 逃してしまいます。

ex. あるボーダーの人

   私の中には  “他人” という概念がなかった。

   自分が憎くて、自分を痛めつけたけど、 同じように 他人を憎んで痛めつけた。

   ノーという言葉は 死に等しかった。

   人は私を 要求が多いとか、 支配的だとか言うけど、

   本当は満たされず、 傷ついた小さな女の子の 叫びだった。

 健全な境界を持てない時、 防衛を必要としますが、

 防衛は 人との親密さを傷つけます。

 防衛には 以下のものがあります。

 支配, 引きこもり, 非難, 合理化, 知性化, 悪口, 完璧主義,

 黒か白か思考, 脅し, 無意味な争い, 他人への過度の関心。

 これらはどれも、 感情やコミュニケーションから 逃れるための手頃な方法です。

 これに代わる 健康的な手段は、 自分の本当の感情を 話すことです。

 ボーダーの人が 自分自身の行動や感情に 責任を取りたがらないのに対し、

 ノン・ボーダーラインの人は

 他人の言動に 過度に責任を感じやすい 傾向があります。

 子供時代に、 両親や他の人たちの 世話係の役割を期待され、

 他人の責任を担うようになったのです。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

個人としての境界を明らかにすること (3)

2013年02月01日 22時47分35秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

《 絡み合いではなく、 親密さを深めてくれる》

 結婚生活でも、 親密さの中にも それぞれの空間を 持つことが大切です。

 木々は近づきすぎると、 枝や根が絡み合ってしまいます。

 どちらの木も 成長する余地がなくなり、 部分的に枯れてしまいます。

 意識的なギブアンドテイクでなく、

 絡み合いは 人を喜ばせるために 自分の存在や要求を 否定することになります。

 それぞれの個性が 二人の関係の犠牲になった時、 絡み合いが生じます。

 恋に落ちるのは、 自分と同じ考えや感情を 相手が持っていると確認することです。

 しかし結局、 二人の感じ方は異なっています。

 それをどのように扱うかが 重要です。

 初めのうちは、 自分の一部を否定するほうが 孤独よりはましです。

 でも人を喜ばせるために 自分の一部を犠牲にするのは、 長続きしません。

 自分自身を相手と共有するには、

 自分の個性を認識し、 相手に対して 何かを表現できることが必要です。

 親密さを得るには、

 時間, 寛容さ, 人を判断せず, 傾聴し, 受容する態度が必要です。

○ ボーダーの人とノン・ボーダーラインの人の 境界線の問題

 境界を傷つけられたり、 境界を持てないまま 成長した人が沢山います。

 多くの場合、

 親が子供の 境界や権利を侵し、 不適切な役割を 子供に強いているのです。

 それは大人になって、 様々な問題を引き起こします。

・ 子供を依存的にしてしまうと、 大人になっても 誰かが必要だと信じるようになる

・ 親から見捨てられた子供は、 他人と感情的な交流を 持つのが困難になる

・ 支配的な親だと、 子供は 他人には何の権利もないと 思うようになる

・ 過保護な親だと、 アイデンティティを発達させるのが 困難になる

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする