ウクライナの反政府デモ 内閣総辞職したが終息へと進むのか?
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激しい反政府デモで死者を出したウクライナの混乱が続いている。この混乱の責任と取ってアザロフ首相が辞任し、内閣は総辞職したが、反政府側が求めるヤヌコビッチ大統領の辞任と大統領選挙の前倒しには至っておらず、9日にもウクライナの首都キエフでは約7万人が参加した反政府デモが行われた。
ウクライナは長年他国の支配を受け続けたが独立心は旺盛であり、旧ソ連の時代でも、旧白ロシア(現在のベラルーシ)と共にソ連国内の「共和国」として国際連合に議席を持つという特権があった。ただ、実際には穀倉地帯と炭田などを持っていることから旧ソ連に「搾取」され続けてきた過去を持っている。
1991年に旧ソ連崩壊によって独立を達成し、その後2004年には大統領選挙の混乱からオレンジ革命が起き、EU寄りの政権が発足。しかし2010年には逆にロシア寄りのヤヌコビッチ大統領が大統領に当選した。それが今回の反政府デモの激化につながり、混乱が続いている。
このウクライナの混乱を予測していた人がいる。国際政治学者で2008年に死去したサミュエル・P・ハンティントン氏である。
1996年に出版した著書『文明の衝突』の中で、ウクライナはギリシャ教会系の「東方正教会文明」であるとしているが、ロシア人の人口分布がウクライナ東部に集中している点を指摘。ウクライナはEU加盟諸国の大半が属する「西欧文明」と「東方正教会文明」とが接する断層線(フオルト・ライン)が形成されているために危険な地域であると述べていた。
また、ハンティントン氏は2010年〜20年頃の東アジアの緊張を予測し、「米中の衝突」に日本などが加わる形での衝突を想定していた。その点で、慧眼ある国際政治学者であったと言えよう。
ウクライナでは、過激な右翼組織「右セクター」が野党勢力との共闘を拒み、「現政権の転覆」を狙っている。過激化したウクライナの反政府デモは内閣総辞職へと追い込むことには成功したが、この後は終息へと進むのかどうか。ウクライナの前途は多難だ。(弥)
【関連記事】
2014年2月3日付本欄【そもそも解説】ウクライナのデモはなぜ起きているの?
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