景気回復と財政再建、両立への道!――あるべき財政健全化計画
[HRPニュースファイル678]
23日投開票を迎えた都議会議員選挙では自公が圧勝し、有権者が現政権が進めている「アベノミクス」に対して、肯定的な評価を下したことが伺えます。
一方、今月14日に閣議決定された「骨太方針」に対しては、新聞各紙から厳しい批判が噴出しています。
今回の「骨太」の要点は「2020年度までに基礎的財政収支の黒字化達成」という「財政健全化目標」です。
野党や新聞各紙からの批判も「財政健全化への具体策が示しきれていない」という点に集約されます。
しかし、財政再建の方法を巡っては「骨太」を批判しているマスコミの側にも混乱があります。
では一体、日本経済の現況に即したあるべき財政健全化計画とはどのようなものでしょうか?
◆消費増税は財政「不」健全化への道
例えば、読売と日経は14日の社説で、今回の「骨太」で消費税引上げを明確化していないことを批判し、「財政再建のためには消費税増税が不可欠である」と主張しています。
しかし、日本のここ十数年の歴史を見れば、上記の主張が的外れであることは明らかです。
1997年、3%から5%への消費増税にもかかわらず、税収は年々減収し、97年に約54兆円あった税収は03年には43兆円にまで減っています。
消費増税前の96年、日本経済は震災復興と駈込み需要で3%近い名目成長を達成し、当時の橋本政権はそれに安心して増税・緊縮財政に踏み込んでいきました。
ところが増税後の97年11月、たった1ヶ月の間に日本の4つの巨大金融機関が消滅、98・99年にはGDP成長率が実質名目共にマイナスに落ち込み、企業の利益と個人の所得が減少したことで全体の税収も落ち込んでいきました。
デフレでもなければ3%近い名目GDP成長率を達成していた97年の日本でさえ、大打撃を受けているのです。
デフレ下での増税は一層の景気悪化と財政「不」健全化を進める結果となるだけです。
◆小泉政権の教訓
一方、2003年度に28兆円だった基礎的財政収支の赤字額は、07年には6兆円にまで縮小し、あと一年半で黒字化達成というところまで改善されました。
03年から07年の財政健全化局面は、ずばり株価上昇局面と一致しています。日経平均株価は03年4月末に記録した7,604円のバブル崩壊後最安値から、07年7月には18,000円台にまで上昇しています。
では株価上昇と財政再建が始まった2003年とは、どのような年だったのでしょうか?
ずばり、政府・日銀による景気対策が本格化した年です。
2003年、日銀は量的緩和に本腰を入れ、政府はりそな銀行の株式買取り(りそな救済)を始めるなど、小泉政権は発足当初の緊縮財政路線から景気対策優先へと舵を大きく転回させました。
景気回復・経済成長こそ財政健全化の原動力です。納税者である個人や企業の収入が増えずして、政府の収入が増えることは無いのです。
◆政府は景気回復による財政健全化方針こそ示せ!
1997年から2011年の近年のデータに従えば、日本では名目経済成長率が1%増加(低下)するごとに、税収は2.7%増加(低下)しています。
データに従って、1%の名目成長で税収が2.7%増加する(税収弾性値2.7%)と考えれば、3%程度の持続的な名目成長が続けば、2023年度には基礎的財政収支の黒字化を達成します。(参照:岩田規久男著『リフレは正しい』PHP研究所)
3%程度の名目成長は、2%のインフレ目標を掲げる現在の金融政策が定着すれば、十分すぎるほど達成可能な目標です。
あえて2020年度までに基礎的財政収支の黒字化達成を目指すのであれば、いっそう高い名目成長目標が必要です。
一見、増税中止を訴える幸福実現党は「何でも反対」の左翼政党と同じように捉えられがちですが全く異なります。
財政健全化と景気回復・経済成長は表裏一体です。幸福実現党は真なる責任政党として、増税を排し、7%の名目成長率目標を掲げ、高度成長を実現してまいります。 (文責・HS政経塾2期生 川辺賢一)
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