行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

秋葉原無差別殺傷事件では、行政による被害者補償制度はあるのか?

2008-06-15 23:02:15 | 社会・経済

 秋葉原での無差別殺傷事件から1週間が過ぎました。今回の事件でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますと共に、ご遺族の皆様へ心よりのお悔やみを申し上げます。また、犯人に斬りつけられてお怪我をされ、未だに治療中の方々の一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

 マスコミなどでは事件の背景やら犯行の動機が色々言われているようではあります。しかし、如何なる社会的な背景や理由があったとしても、到底正当化できるような行為ではありません。犯人に同情するような背景や事情など微塵もない事件です。当然、断罪に処されるべきだと思います。

 しかしながら、犯人が身辺整理などして、死刑覚悟で行った犯行であることを考えれば、簡単に死刑に処してしまうことは犯人の思う壺であるような気がします。まして、事前に「ワイドショー独占」などと、掲示板に書き込んでいて、結果的にそのとおりになっている事実を考えれば複雑な思いです。もし、私が被害者の遺族か関係者であれば、間違いなく犯人を八つ裂きにしてやりたいと思います。個人的には、死刑や事実上の有期刑である無期懲役や、或いは、抽象的な終身刑といった刑よりも、懲役100万年と宣告してやりたい気もします。

 今回の事件で被害に遭われた方々のご遺族や被害者の方々には、あのような加害者に殺され、傷つけられて、何の補償もないのでしょうか?殺され損なのでしょうか?というご質問がありました。そこで以下に私の知る限りの救済制度の概要を書かせて戴きます。

 基本的には、労災保険やら民事訴訟による損害賠償請求になるのですが、事件が日曜日に起こった事もあり、労災案件の対象外の被害者の方々が多いようです。また、加害者には、碌に資産もなさそうですので、犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S55/S55HO036.html)が適用されるケースが多いと思われます。刑事裁判については、犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO075.html)があり、被害者遺族の方々への刑事裁判上の優遇措置がありますので、詳しくは裁判所、検察庁、或いは弁護士会などからの説明に譲りたいと思います。

 この犯罪被害者給付金の管轄官庁は、警察庁で犯罪被害対策室が担当部署となっています。遺族給付金としては、最低額が320万円、最高額が1,573万円が支払われます。障害給付金は最高額が1,849万円が支給されます。但し、労災が適用されるような被害者の方は除外されます。一方、国民年金や厚生年金に基づく支給は全く別として適用されます。また、遺体修復費や手続きで必要となる戸籍謄本代などが無料となる模様です。更には、財団法人犯罪被害救援基金が行っている奨学金事業があり、遺児がいらっしゃる場合、その学費の支弁が困難と認められることを要件として、犯罪被害遺児等に対する奨学金の給付制度があります。

 勿論、ご遺族から言わせたら、お金なんかはいらないから”生きて返してくれ”と、叫びたいことだとは思いますが・・・。いずれに致しましても、以上のような法律に基づく救済制度があることをお知らせしたいと思います。また、この法律に基づき、同法13条では、「公安委員会は、犯罪行為の発生後速やかに被害者等を援助すること・・・」と法律で定められています。 なお、本制度は、DVによる被害者に対しても、全額ではありませんが通常補償額の3分の1から3分の2の範囲で対象となっている模様です。

 最後に、アキバガイドさん(http://blog2.akiba-guide.com/)など、秋葉原の地元の方々の一部には、募金箱を設置して、被害者の方々への支援を呼びかけています(概ね、お昼頃から5時頃までです。)ので、もし秋葉原にお立ち寄りの用事がある方々がいらしたら、是非ご協力を賜りますようよう私からもお願い申し上げます。

コメント (2)
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