毎年国会で審議される一般会計予算に対して、特別会計なるものがある。その名前はよく新聞やTVなどで聞くことがあっても、その実体はあまり知られていないようだ。
特別会計は何も国レベルのみならず、都道府県単位でもあるのだ。そして、特別会計の最大の特徴は、国会や都道府県議会の審議を経て決められる会計予算ではなく、基本的にはその所管する官庁又は都道府県の官僚達の手に委ねられている点だ。
それは、議会の政治家達や軍人達によって、これらの用途目的が限られるべき会計資金を恣意的に流用されてしまうことを防ぐという意味に於いては、その昔は確かに機能していた時期もあったと思う。
ところが、実際は無駄な物品購入やら、ダムや空港(注:社会資本特別会計の中に空港整備勘定等があります。)などの無用な建設費用、天下り官僚の多額の報酬や退職金等に使われている特別会計が多々あるといわれている。
もし、確かにそうであるのならば、一般会計に組み入れるべきだとする意見は確かに筋が通っていると思う。
ところで、国レベルの特別会計だけでも、年金に関わる原資や費用に限られる年金特別会計や失業保険の原資やその対策、或いは、労働者の向上に関わる費用に限られる労働保険特別会計など、現在以下のような16の特別会計がある。
1.登記特別会計(法務省)
2.地震再保険特別会計(財務省)
3.特定国有財産整備特別会計(財務省)
4.年金特別会計(厚生労働省)
5.船員保険特別会計(厚生労働省)
6.労働保険特別会計(厚生労働省)
7.国立高度専門医療センター特別会計(厚生労働省)
8.農業共済再保険特別会計(農林水産省)
9.漁船再保険及び漁業共済保険特別会計(農林水産省)
10.森林保険特別会計(農林水産省)
11.国有林野事業特別会計(農林水産省)
12.食料安定供給特別会計(農林水産省)
13.貿易再保険特別会計(経済産業省)
14.特許特別会計 (経済産業省)
15.社会資本整備特別会計(国土交通省)
16.自動車安全特別会計(国土交通省)
その支出総額はなんと約178兆円にも登り、国家予算である一般会計予算額の約2倍にもなるのである。この巨額な金額が、国会で審議されることなく、その所管官庁の官僚達の裁量により無駄に支出されているといわれている。
この膨大な資金のほとんどが、いわゆる高級官僚達の天下り先の名ばかりな特殊法人に一旦流れてから使われており、その使途が不明朗であることが多々あるのがどうも現実のようだ。
例えば、無駄で意味もないような数多くの箱物施設で有名になった労働保険特別会計や、未だに年金記録問題が解決できていない年金特別会計、赤字空港ばかりを作り続ける社会資本特別会計の中の空港整備勘定等々。
天下り官僚達によるこれら特別会計の杜撰な使われ方を見ていると、一部の特別会計制度では明らかに、その存続意義が無くなっていることは確かなようだ。
そして、世間でほとんど話題すらなっていない地方自治体の特別会計制度も是非同時に見直して頂きたいと思う次第なのである。
それは、第3セクターでの前例からしても、余りにも酷い失敗例ばかり(成功例って聞いたことがありません!)であり、下手をすれば中央よりも相当に杜撰な管理・運営がされている事が想像されるからなのである。
民主党新政権のマニフェストを財源的にも裏付け実現させる為には、この不明朗な特別会計にメスを入れたならば、おそらく想像以上の巨額な無駄な資金が炙り出されるのではないかと確かに思えるのである。
この特別会計問題を無視して、財源!財源!と増税とも思えるような念仏を唱える旧政府与党である自民党の姿勢では、おそらく暫くの間は選挙には勝てないのだろうと思うのだ。