韓流アイドルグループ「BEAST」が羽田空港で上陸を許可されずに日本へ入国(注記1)できず、予定していた映画「シャンハイ」の特別試写会での舞台挨拶に出演できなかったようです。
(注記1)入管法上では入国ではなく、上陸と言いますが、ここでは一般的な意味で入国という単語に以下すべてを置き換えていますのでご了承下さい。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110816-00000083-spnannex-ent
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/110817/ent11081710520003-n1.htm
詳細は、不明とありますが、在留資格手続のプロからすると、可能性は二つしか考えられません。
一つ目は、入管法第5条に基づく、入国拒否事由に該当している外国人である場合が考えられます。
タレントさんでよくあるケースは、過去に1年以上の刑事罰を受けたことがあるか、或いは、麻薬を使用したことがある場合です。
元ビートルズのポール・マッカートニーさんやローリング・ストーンズのミック・ジャガーさん、最近ではお騒がせセレブ・タレントのパリス・ヒルトンさんなどの入国拒否が有名です。
もっとも、アルゼンチンの国家的なヒーロー・サッカー選手で麻薬使用者であったマラドーナさんのように「外交」又は「公用」の外交官と同様の在留資格で、例外的に入国させたウルトラC的な措置もあったようですが・・・。
二つ目は、例え1日でもタレント活動を日本国内で行うのであれば、「興行」のビザが必要であるのだそうです。「興行」というと、在留資格手続きの中では極めて特殊で、依頼主もいわゆる呼び屋と呼ばれる興行主の方々が多いと聞いていますので、私自身もあまり馴染みの無い手続きです。また、Jリーグのサッカー選手などのプロスポーツ選手も「興行」ビザで滞在しているようです。
この「興行」のビザ無しに、通常の観光やビジネス・トリップによる「短期滞在」ビザ(韓国人の場合は、欧米諸国や台湾の方々と同様にノン・ビザで、この在留資格が入国時に与えられます。)で入国しようとした場合、入国審査官に、
「入国の目的は何でしょうか?」と聞かれ、
「試写会のイベントに出演します!」と答えた場合、
明らかに商用ではなく、興行の活動ですから資格外活動となります。従って、入国審査官は上陸を許可することが出来なくなり、入国を拒否するしかありません。
もっとも、彼等が入国審査官に対して、
「打ち合わせです!」とか「ビジネス・ミーティングです」とか
「〇〇のイベントに行きます!」とか、或いは、
「観光です!」とか「買い物です!」なんて答えてしまうと、
おそらく入国審査官は、簡単に上陸許可しちゃうんでしょうね・・・。
そうやって、やって来る無名のタレントやモデルは、CMや雑誌などに出演して、さっさと稼いで帰って行くそうです。こういった白人系のファッションモデルさんやCMタレントさんも相当数いると聞いています。
まあ、彼等は運が悪かった・・・なんて言われることで安易に片付けることなく、今後は面倒でも、正しい正規のビザを予め取得して頂きたいものです!
余談ではありますが、ダンス教室などで働く、タンゴやフラメンコの講師は、「芸術」のビザになります。「興行」ではありません。但し、ショーに出演するのが目的の来日であれば、やはり「興行」となります。
【注】一般的には、上記のような在留資格認定証明書なる許可証(注記2)を事前に入管局に申請し、取得していないとビザは貰えません。
(注記2)厳密に言えば、この証明書は入管局によって在留資格の該当性を審査した証明書であって、これを得たからといって在外公館での査証(ビザ)発給が保証されたり、上陸許可(入国)が保証される訳ではありません。しかしながら、事実上の事前審査済証明書のような働きをする証明書です。
英文表記がアーティストですから、「興行」に該当する
ミュージシャンなどから「俺達、アーティストじゃないのかよ!」
と怒られそうです。