貧困率とは、ある国の国民の所得を高い順に並べた時に、真ん中の人の所得を基準にして、その半分に満たない人が占める割合を言い、その割合を相対的貧困率としているのだそうだ。
従って、相対的貧困率が低ければ、その国の経済的な格差が少ない国家であるといえるのである。つまり、豊かな国は皆が豊かであり、貧しい国では皆で貧しさを共有している国(昭和20~30年代の日本ですね!)とも言えるのである。
今日の朝日新聞によると、OECD加盟国(いわゆる、先進工業国30カ国)中、日本は貧困率が4位、そして、特に一人親家庭の子供(18歳未満)の貧困率では、何と見事に世界第1位と、先進工業国内の中では世界で最も貧富の格差のある国に成り下がってしまったようだ。
OECD加盟国とは → http://www.kanzei.or.jp/refer/oecd.htm
【一人親家庭の子供の貧困率】
1.日本 58%
2.米国 36%
3.メキシコ 34%
4.トルコ 32%
5.オランダ 27%
6.ドイツ 26%
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・ フランス 12%
・ 英国 7%
・ スウェーデン 6%
・ デンマーク 4%
1970年代、そして1980年代後半までは、日本という国は「一億総・・・」といった表現がマスコミでごく普通に使われるような、実に公平な資本主義国家の筈だったのだが・・・。
それが、1989年?に消費税が導入されてからというもの、富める者とそうでない者との人口分布が徐々に顕著になって来たのだった。
そして、小泉政権の誕生により、経済政策の責任者だった竹中平蔵氏による政策になってからは、それが更に悪化の一途を辿ったのはまぎれもない事実のようだ。
特に問題だったのは、労働者派遣の原則自由化に踏み切った事だった。これにより急増した派遣労働者の年収の極端な低さが、日本の貧困率を更に押し上げたようだ。
OECDの統計データで、一人親家族の子供の貧困率が世界で図抜けて高いのは、一人親の子供を預かったくれる安価保育園などの施設が日本では極めて少なく、日本の多くの一人親達がやむなく派遣労働者として働かざるを得ないという行政の無策な実態が如実に浮かび上がっているのである。
ところで、製造業への労働者派遣を認めた最大の責任は、厚生労働省にあることは、実はあまり知られていない。
そもそも、1990年の入管法改正によって来日した南米系の日系人を、当初は正社員や契約社員として雇用してした自動車や電機関連産業では、コスト削減至上主義によって、93年頃から擬装請負をはじめたのであった。
その実態が急速に拡大しつつあるのを、政財界からの圧力により見過ごした厚生労働省幹部の責任は大変重いのである。
僅か5~10年ほどで、こういった擬装請負という派遣労働者が何十万人にも急増し、かつ数千数万にもおよぶ中小零細の請負企業(中には、携帯電話だけで労働者を手配するブローカーまがいの業者さえも居たのである!)が乱立したのであった。
こういった事実上の製造業への無秩序な派遣行為(労働者に対して、何の保険にも加入させずに、好き勝手に解雇するような、劣悪で出鱈目な労働環境ばかりが横行していた!)を拡大させていった請負会社という名の業界の実態を、各新聞や様々な雑誌等のマスコミが、その実態を暴露し始めると、厚生労働省もさすがに看過する事ができなくなったのであった。
そこで、霞ヶ関の厚生労働省の連中が、自分達が責任逃れする方法は無いのかと考え出した方法が、これらの労働者や請負業者の合法化であり、製造業への派遣を認めた派遣業法の改正だったのだ!
こんなふざけた行政官達や政治家に対して、とうとう日本国民は怒り心頭し、先の選挙で民主党を圧勝させたことは言うまでもない。
この”失われた20年”を民主党政権になって、先進工業国の中で最も豊かな国家として復権できるのであろうか?
いや、期待するしか我々には選択肢はなかったのであるから、期待したいものではあるのだが・・・。さて、どうなるのであろうか・・・。