3月3日付け朝日新聞夕刊の記事によると、同日付で佐賀地方裁判所は、警察署員1人について、特別公務員暴行陵虐罪で審判に付す決定を下したそうです。
この事件、2007年、知的障害者の安永健太さんが複数の警察署員らに取り押さえられた直後に死亡したという事件で、検察官が不起訴処分にした為に、ご遺族が特別公務員職権乱用等致死罪で地裁に付審判(ふしんぱん)請求していたのだそうです。
この付審判請求ですが、過去20年で全国で5千件以上の申し立てがあったそうですが、裁判をする付審判決定が出されたのは、たったの5件だけという、大変珍しいケースなのだそうです。この場合、裁判所は検察官役を務める弁護士を選んで、刑事裁判と同様な審理が行われるのだそうです。
時として、「不起訴不当」といった画期的な勧告している検察審査会の存在は知っていたのですが、裁判所による付審判なる制度があるとは全く知りませんでした。
とはいえ、5,000分の5、つまり0.1%しか決定が下されない有名無実の制度であっては、折角のこの素晴らしい付審判制度が泣いていると思うのです。
行政不服審査が実体として機能していない現在、司法判断である行政訴訟にしても、どうしても行政部門に対して遠慮しがちな判決が多いような気がする今の裁判所の姿勢から、このように行政側の瑕疵を積極的に正す制度に、裁判官はもっと積極的に踏み出して欲しいと思う次第です。
ちなみに、検察審査会の制度を見習って、行政官自身による不服審査ではなく、一般の人々から無作為に選ばれる行政審査会制度でも作ったら良いと思うのです。私個人としては、裁判員制度よりも、この行政審査会の一般市民参加の方が余程興味があるのですが・・・、皆さんのお考えは如何でしょうか?