今から7年ほど前のことですが、ある日系人に、
「10年前、私が始めて日本に来た時、勤めていた工場では不良品が出ると日本人は皆が協力してその原因を必死で探り、その失敗を糧に、更に良い製品作りに生かしていました。それを見て日本製品が世界一であることが納得できました。しかしながら、リストラの嵐が吹き荒れた昨今、不良品が出ても、もう日本人は誰も気にしなくなりました。皆知らんプリです。これでは私の国の工場と同じです。だから、もうXXに帰ることにしました。学ぶことはもう何もありませんから・・・。」
そう言って、淋しそうに帰って行った日系人の言葉が今でも忘れられません。私は大変な衝撃を受けました。まさか日本のメーカーがそこまで落ちているとは思わなかったからです。
品質管理が現場から改善されないようになったメーカーは赤信号です。経営陣が、経営改善や新製品開発、新分野への進出ではなく、コスト削減策としての賃下げに踏み切るようなメーカーはもう既に末期的です。安い人件費を求めて外国人を採用したり、生産拠点を海外にシフトすることなども危険な業種である兆候です。
人件費がネックとなってそれを克服できなかった、かつての花形産業の石炭産業、映画産業、繊維産業、印刷産業、海運産業は今は見る影もありません。そして、今現在、人件費で苦しんでいる航空運輸産業、白物家電メーカー・音響メーカーなども近いうちに斜陽産業になるかもしれません。いやあ、もう既にそうなのかもしれません。
人件費を安く抑えたいと公言している経営者がいるメーカーは、遠くない将来、必ず廃業か業務の大幅な縮小を余儀なくされることでしょう。また、構造的に人件費を抑えることしにしか活路を見いだせない業種もしかりです。それは、もう既に始まっている労働者不足が更に深刻化するからです。その不足数はとても外国人労働者の流入によって解消できるような数字ではないのです。その時になって、質の良い労働者が確保できない産業は必ず陶太されるか大幅な縮小を余儀なくされることでしょう。
それは、もうそこまで来ているのです!
経営者の皆さん、少なくとも今居る社員に逃げられないような対策が採れないのならば、黒字倒産の危機が来るかもしれませんよ!
サラリーマンの皆さん、もし人件費を抑えることしか頭にない経営陣ばかりの会社にお勤めであったら、転職をお考えになった方が良いかもしれませんね。そして、不良品が出ても誰も見向きもしないような事が多発しているメーカーにお勤めの方々は、本気で転職をお考えになるべきです。