もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

反イージスアショア論に驚く

2018年07月02日 | 軍事

 東京新聞と朝日新聞が、相次いで「イージスアショア(陸上設置イージスシステム)配備の再考」を社説で論調した。

 米朝融和の兆しを主張の根拠としているが、米朝融和は実質的には何等の進展も見せていないのが実情で、現時点では米朝首脳会談の波及効果を正確に予見でききる人間は両新聞はもとより、全世界にも存在しないと思う。証拠に乏しいモリ・カケ問題を印象操作によって既成事実化した手法を踏襲しようとしているのかもしれないが、もしイージスアショアの配備構想が後退する事態になるならば、国民が被る被害はモリ・カケの比ではないと思う。学会は軍事研究を排除し、財界は軍需装備の独自開発を行わない日本にあって独自のミサイル防衛システムを構築することは不可能で、勢い米国産の防衛システムを取得せざるを得ないが、米国が真に北や中国のミサイル脅威に直面した事態では、アショアシステムの調達は絶望的になる。高価な武器システムは当然のことながら注文生産で、発注しても入手できるまで1年間程度は必要で、しかも米軍への供給が優先されるため、所定の期日までに確実に取得できる保証はどこにもないことをもっと知るべきであると思う。過去にも、護衛艦建造の際に同様の理由で1年近くも納期を延長された経緯もある。東京新聞と朝日新聞は、米朝首脳会談によりアジアの緊張はより深刻となることを意図的に無視し、武器調達の現状を恰もスマホを買うような安易さと誤認している。さらにはオペレーターの養成などは念頭にないもので、取説すら読まずにそこそこの取り扱いができるとの認識ではないだろうか。また、イージスアショアは北朝鮮のミサイル対処のみに装備されるものではなく、中国・ロシアはもとより韓国の弾道ミサイルに対する備えをも考慮されていることを見事に無視している。

 アショアシステムを配備された基地が最初に攻撃目標とされるとの自治体の意見も疑問である。本格的な侵攻作戦では敵の軍事拠点を最初に攻撃して反撃能力を削ぐことを試みるが、奇襲作戦やゲリラ戦では敵の防御が弱く、かつ日本を混乱させるために最も効果的な場所が選ばれるのが常識と思う。それは、原発であったり通信拠点であったり、政治の中枢である。本格侵攻の場合を除いて、軍事施設周辺は比較的安全な場合の方が多いとも考えるものである。