関連法案の成立に伴い、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が発効する日も近づいた感がある。
経済に暗いために、協定発効によって自分の生活にどれほどの影響が及ぶのかは良く理解できていないが、国策としては時宜を得たものと思う。当初TPP交渉入りは民主党政権の主導で議論が始まったものの、国内の農業保護を理由に自民党が激しく反対していたものと思うが、時と政権が移り変わった今では賛否が逆転した形で推移している。オバマ政権はTPPを中国包囲網構築の1手段としていたが、トランプ政権のTPP離脱(各国とのFTP転換)と関税障壁設定が発動された今では、中国経済への防波堤としての役割よりもアメリカの保護貿易に対抗する有効な手段と考えられている。しかしながら報道で知る限り、TPPの効果・効能と展望に関する国会論議は低調に推移し、取り沙汰されるのは農水大臣の失言だけであるように思える。立憲民主党の人寄せパンダである蓮舫議員は外交オンチを露呈し、辻元国対委員長は「たった3日の論議での強行採決」と嘆いて見せたものの、ゴールデンウィークに18連休を取った者の言として失笑を禁じ得ない。日本経済の浮沈にかかわる問題にも拘らず、関連法案に賛成した維新を除き、野党が反対する最大の理由が「アメリカの動向を見極めて」との一点であるように感じられるが、そこにはスピード感も無ければ、日本の発言力を維持しようという努力も感じられない。
協定参加の11ヵ国以外の新規加盟(アメリカを含む)にも門戸を開き、国際経済社会において初めて日本がある程度の発言力を発揮できる枠組みであるTPP11。副次的にアメリカの影響力からの脱却をも期待できる政策と思うのだが。