日本が2023年に運用開始を目指すイージスアショア用レーダの機種選定が秒読みであると報じられている。
候補機種は、ロッキード社製「SSR」とレイオン社製「SPY6」が有力視されている。両者の性能は略同等でありSSRは各国での運用実績があり、SPY6は納入時期に問題があるものの海自イージス艦での装備数・運用実績に優れており、甲乙つけがたいものとされている。防衛省も頭の痛いところであろうが、考慮して貰いたいのはメンテナンスの問題である。一つのシステムを維持するためには、性能維持のための核心的な部品は2倍以上の、その他の部品については同数程度の部品を常時保有することが必要と思われるが、システムがアメリカ製であるとともに全世界の装備数が少ないこともあり、調達には相当の期間が必要であることを考慮すれば、更に多くの部品を保有する必要があると思われる。過去にも航空機や艦艇に少数多機種のシステムを導入したために、補給品目が多くなり部品購入費や部品修理費を圧迫して部隊運用にまで影響する苦い経験を持っている。防衛省は、限られた防衛予算の有効活用のために陸・海・空3幕の調達部門を統合して努力されているが、新システムの導入に当たってはメンテナンス費用も考慮して共通部品の陸・海相互運用が見込まれるSPY6の方が適当ではないだろうかと考えるものである。メンテナンスの効率化については、単に補給品目の抑制のみならず、整備や操作技術も見逃せないと思う。イージスアショアの導入まで4年以上あるので、どの機種であれ整備・操作の基幹要員は養成できると思われるが、既知の部分が多いSPY6に軍配を上げたいものである。
新装備の導入に当たっては、安価であることや選定当時の運用要求に合致することが大きな要素として考慮されるが、兵器体系や後方要因をも考慮されるべきと思う。インクボトルが余った状態でプリンタを買う場合、そのインクが活用できるとともに使い慣れたプリンタをまず探すのではないだろうか。