トランプ大統領がEU諸国首脳に書簡を送り、防衛費の増額(対GDB比2%)を求めた。
トランプ政権下では、既に駐独米軍の縮小・撤退の影響評価もなされているとも報じられている。先の障壁関税の設定に次ぐ揺さぶりの第2弾で、米国の孤立主義を更に深めるものとも観測されているが、在イスラエル大使館のエルサレム移転、中朝首脳会談、シリア反政府勢力への支援中止、イラン核合意からの脱退等を含めて鳥瞰すればトランプ大統領の構想がおぼろげながら窺い知れるのではないだろうか。それは疑いもなく米・中・露の3局鼎立によって世界の安定を目指すものと考えられるのではないだろうか。中東の石油資源地帯はロシアに渡すもののイスラエルという強固な楔を打ち込んでおくことでバランスを取り、インド洋ではインドの反中努力に期待するものの中国の勢力下に置かれることも止む無しとし、極東では韓国を含めた朝鮮半島は中国の影響下に置くものの太平洋では中国の影響を日本列島で阻止しようとするのでは無いだろうか。その一環として今回のEU首脳に対する書簡を眺めれば、EUは米露勢力の緩衝地帯としてしか考えていないとの意思表示かとも思える。トランプ大統領の世界平和完成予想図をメルカトール図上に色別すれば見事に世界を縦に3分割しており、米国の勢力範囲は経度0度~西経230度(東経130度(概ね日本を含む)内に限定しようといるように思える。万が一米国の勢力範囲西端がグアム島まで後退していれば、日本も更なる軍備強化の努力を強いられることになるのだが。
国際関係を律するものは古くは人種であり宗教であり、近年は資本主義と共産主義というイデオロギーであったように思うが、トランプ大統領の度量衡の全ては$であり、過去の友好・軍事条約等を含む「全てのしがらみ」も$に換算して清算したいようである。一時期に日本で持て囃された「しがらみからの脱却」も、こと世界規模で行われるならば希望の党の分裂どころではないが、このブログが杞憂で的外れなものであることを祈るのみである。