甚大な水害被害を受けた岡山・広島両県が、行方不明者の氏名を公表している。
この処置によって、広島県では救助活動が迅速に行われ、被災後3日目になって一時30名近い新たな行方不明者が報じられた岡山県でも、捜索隊との情報共有によって半数以上の生存が迅速に確認されるとともに、行方不明者の救出・捜索に資材を集中することが可能になったと報道されている。一方、3.11(東日本大震災)では、個人情報保護の観点から一部の自治体では氏名の公表・配布を行わなかったために安否確認に手間取ったことも記憶に新しい。東京で起きた幼児虐待死事件でも、児童相談所の言い訳は個人情報保護の建前から警察に通報しなかったこととされている。中古現代人の自分としては、人の生死を超越する個人情報が存在するとの認識が理解できない。行方不明者の捜索・救助は将に時間との戦いであり、生存確率が大幅に低下する72時間を目安として捜索隊は不眠不休の活動を強いられていること思うが、最も重要な情報が得られないのでは、時間の浪費でありみすみす生存者を見殺しにする恐れすら予想されるものである。テレビで見た知識であるが、ポイントカード取得のために住所・氏名・電話番号を書いた時点で、既に個人情報は丸裸になったも同然であるらしい。世に逼塞を余儀なくされる犯罪者や亡命者を除いて、世間との関わりあいで生きる市民が生活し、便利なツールを得るためには個人情報を隠し通せるとは思えない。声高に個人情報保護を叫ぶ人も、多くはクレジットカードを持ち、健康保険証で受診していると思う。悪意を持つ人がその気になれば、一般的な個人情報などは簡単に盗み読み・窃取できるもので、生死を超越する程の重みは無いと思う。
自分にも、少なからぬ電話セールスやダイレクトメールが届くが、現代社会で生きるためには我慢すべき必要悪と思っている。自分の一般的な個人情報は既に世間に流通しており、相手に乗ぜられない防御法を身に着けるしかないとあきらめている。