アメリカとEU間の関税摩擦が、緩和される方向に動き出した。
EUが米国産農産物(大豆)の輸入を拡大する代わりにアメリカは欧州産自動車の輸入関税を撤廃するとともに、鉄鋼関税措置によって生じた関税障壁の撤廃に向けて検討することで双方が合意したものである。G20やG7の場でアメリカの保護貿易に関して明確な反対を決議出来なかったことに対するEUの功績を認めた論功行賞であるかもしれないし、欧州産高級自動車の価格高騰を懸念する中産階級と農産品の輸出不振にあえぐ農家への救済措置であるかもしれなが、自分としてはトランプ大統領の抜き難い白人絶対主義の匂いを感じるものである。EUが大国アメリカの圧力に負けて、集団的自由貿易の枠組よりもアメリカとの2国間自由貿易(FTA)の道を選択した背景にも、EUにおける白人社会維持を優先した気配が濃厚である。おそらく次にはカナダやオーストラリア・ニュージーランドともFTA交渉が加速するであろうし、そうなればTPP11は発効すらできなくなることも懸念される。トランプ大統領の外交政策を鳥瞰すれば、ニューディール政策で自国を防衛しつつ満州問題を利用したABCD包囲網で日本(黄色人種)の伸張を挫こうとした大東亜戦争誘発前夜に近い様相を見せているように思われる。今回の貿易摩擦では、黄色人種の代表として中国がターゲットとされているように思うが、トランプ大統領の世界観に照らせば日本も中国と同じ黄色人種として全幅の信頼は置かれていないものと思うべきである。北朝鮮の非核化に対しても、アメリカ本土攻撃さえ防止できれば良しとして、アジア内での限定的な紛争はむしろアメリカの軍需産業維持のために必要と考えているのかもしれない。
トランプ大統領は近年まれな暴挙を地球規模で展開しているにも拘らず国内では50%を超える支持率を得ており、そこには白人優位社会回帰を希むアメリカが確実に存在していると思う。EU諸国での極右政党の急伸も同じものであろうが、今は騒動の元凶であるトランプ大統領の任期切れと中国バブルの崩壊を待つしか路は無いように思う。