イージスアショア配備計画の見直しに伴う代替案が検討されている。
防衛省と自公で検討されているのは、イージス護衛艦の増強、イージスアショア専用護衛艦の建造、商船の転用、海上リグの建設の4案であるが、イージス護衛艦の増強については人員的に運用が困難であることと、イージスアショア解約に対する違約金が発生することから早々に断念されて、現在は他の3案を軸に検討していると報じられている
3案のいずれも一長一短があり困難な選択になると思われるが、自分は海上リグと商船の転用を融合した案が適当ではないだろうかと考える。
専用護衛艦の建造と商船の転用は、移動可能でイージス艦よりは乗員が削減できる反面、個艦防御能力は脆弱とならざるを得ないとともに機関・船体の保守のたの入渠修理が必要となるために運用できる期間が制約を受けるという点は致命的であるように思う。
海上リグについては移動できないという弱点はあるが、PAC3の常駐や防雷網によってある程度の経空防御や魚雷防御機能を持つことが可能であると考える。しかしながら、イージスアショアに特化したリグについては建造実績がないことから付帯設備を含めて多くの検討が必要であり、実現に長期間を要するものと考える。
そこで考えられるのは商船を活用した海上リグである、一種のメガフロート構想であるが、メガフロートの中心に1・2隻のタンカー(推進機関を撤去した船体のみ)を置いて、甲板にイージスシステムとPAC3を装備、船内に動力や居住スペースを設けるものである。タンカーの船体であればスペースは十分であり、将来起こり得る拡張要求にも耐えることができるし、鉄板であるので改装工事も簡単である。タンカーを取り巻く浮体の構造や波浪の影響を局限できる接合方法、巨大な施設の固定については、既に横須賀沖のメガフロートで得た建造・係留・運用実績が活用できるとともに、潜水艦からの雷撃防御も期待できると思う。中国が西沙諸島に建設した人工島は不沈ミサイル基地であるが、衛星が飛び交う現在では基地を隠す努力よりも、強力で常続的に稼働できる施設の方が効果があると考えているものと思う。その点からいえば人工島がベストであるが、関空整備で直面した工期・地盤・海洋環境・漁業補償の諸問題に関しても、よりハードルの低いメガフロート+商船活用策は有効ではなかろうか。
我々からすると河野防衛相がイージスアショア配備計画断念を発表したのは唐突過ぎるようにも思えたが、案の定防衛省には代替案すら準備しないままの発表であったことが露呈した。河野防衛相は菅内閣では行革大臣に転身して、早くも各省庁に対してハンコの撤廃を要請した。問題点にマッチで火をつけ、騒ぎが大きくなったところで火消しに回って点数(利益)を稼ぐ、マッチポンプと称される政治家はこれまでも存在したが、重大な案件に対してマッチで放火するがポンプを放棄するマッチオンリーの政治家は、河野大臣を除けが「最低でも県外」で名高い鳩山由紀夫氏であろう。かねてから、鳩山家(一郎・由紀夫氏)と河野家(一郎・洋平・太郎氏)は国政の枢密には参加させるべきではないと主張してきた。今に禍根を残す日ソ共同宣言(鳩山一郎・河野一郎氏)、慰安婦官房長官談話(洋平氏)、辺野古移設(由紀夫氏)等々で国威を阻害してきたが、共通しているのはスタンドプレー・マッチオンリーの姿勢である。河野太郎氏については防衛・行政にまで禍根を残しつつあるように思えて不安であるが、ポスト菅総理の有力候補とも目されているらしいが如何に。