一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

入試問題漏洩騒動

2011-02-28 | よしなしごと

大学入試の「Yahoo知恵袋」投稿問題、気になったのは犯罪報道同様に手口と犯人の正体にばかり関心が集まりすぎなところ。


今回は犯人が答えをインターネットで広く募りカンニングを「公開」したことで話題になったのですが、逆にこの手段を使うということは、今回のカンニングが多数の受験生を巻き込んだ組織的なものとも思えません。
犯人は問題を「Yahoo知恵袋」にのせる以上、カンニングがすぐに発覚することは承知していたはずだし、そうであれば同じ回答を書く複数の受験生がいたらすぐにばれてしまうので(特に英文和訳など)。

要するに「上手くやって逃げおおせそうな奴」がいるのがわかっただけで、まあたいしたことじゃないとも言えます(過去にもカンニングがばれなかった奴はいると思います。)。
現時点では入試問題の漏洩の可能性をアピールして入試の信頼性を揺るがそうという悪質な愉快犯だというような証拠もありません。
なので、記者会見でどこかの大学の人が言っていたような「受験制度の根幹を揺るがす暴挙」では決してないように思えます。


しかし大学はこれを偽計業務妨害として告訴するようです。

普通であれば「カンニングした受験生を捕まえてください」などと警察に言っても相手にされないでしょう。たとえばDVやストーカー被害・幼児虐待への通報が警察で取り上げられないというのはよくあります。それに京都大学の長い歴史のなかで一度もカンニングがなかったということはないでしょうし、カンニングをした受験生を刑事告訴したことはなかったわけですから。
かといって大学がYahooにipアドレスを教えろと言っても、個人情報保護法を理由に断られるのは目に見えています。

今回はマスコミがこぞって取り上げたので警察も「事件の社会的重要性」から捜査に着手することを正当化しやすい状況にあるのでしょうが、逆に言えば大学側は「犯人探しにはYahooにipアドレス情報を提供する必要があって、それには警察を経由する必要がある」という便法をとったと考えられます。

ただ、犯人はつかまるかもしれませんが、警察は事後的に犯罪を摘発するしかできないので、捕まえれば入試の公正が保てるとも思えません。
それに大学が「カンニングしたら警察につかまるぞ」ということで抑止をはかるというのは、僕の子供のころの「悪いことをするとおまわりさんが来るよ」みたいでちょっとみっともないです。
それに、便法として警察を使うというのが大学としていいのか、という点もあります。


ipアドレス情報の提供と個人情報保護の問題とか、警察の事件としての取り上げる基準とか、他の社会事象でも同様の論点をもう少し掘り下げてみると報道としても広がりが出ると思うのですが。
それとも京大法学部の学部の試験問題にするとか。


一番大事なのは、犯人を捕まえるより以上に同種の行為をできなくする再発防止です。
当然ながらそれは大学も承知していて、試験会場への携帯電話の持ち込み禁止が検討されているようです。
ただ、現実には預かった携帯をどこに保管するか、こっそり持ち込もうとした受験生を韓国のように金属探知機でチェックするのかなどすぐに実現するにはけっこうハードルが高そうです。

それなら試験会場に妨害電波を流して「圏外」にしてしまえば手っ取り早いと思うのですが、それって電波法に引っかかるのだろうかと思ってググッたら早速ありました。

  携帯電話妨害装置と電波法(教えてgoo)

やっぱり便利だわw
Wikipediaのほうがより詳しいですけど)



コメント
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