一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『日本の血脈』

2015-01-28 | 乱読日記

取り上げる人物によって当たり外れが大きい。

宣伝文句は以下の通り大仰だが、元が文藝春秋の連載いうこともあり、手間暇かけて調べた以上形にしないと、と玉石混交になっている。

血の継承にこそ存在意義のある皇室はいうに及ばず、政財界から芸能界まで、この世は二世、三世で溢れかえっている。日本人を惹きつけてやまない血のロマンー。しかし、その裏には、末裔のみぞ知る、いや、末裔ですら知りえない先人たちの波瀾万丈があった。注目の人士の家系をたどり、日本人の血脈意識に斬り込んだ意欲作。 話のネタとしてはけっこうおもしろい発見がある。

とはいうものの、現代の日本人は何代か遡ればだいたい戦争体験とか明治維新を経験しているわけで、「先祖Aは同じ時期に満州にいたXと親交があったに違いない」という憶測とか「幕末○○の攻防で現在の盟友の先祖同士が敵味方に分かれて戦っていた」という順列組み合わせの結果論などの茶飲み話になりがちだったり、取り上げられている本人以上に目立つ人に焦点があたりすぎなものがあるのは残念なところ。
 ドキュメンタリーでは自分の発見を過大評価するのはいたしかたないのだろうか(たとえばこちら)。

取り上げられた記事について個人的に○×をつけるとこんな感じ。

女系家族-小泉進次郎
 △ 小泉家のつながりは面白いが進次郎の話がほとんどない
癒されぬ子ども-香川照之
 ○
哀しき父への鎮魂歌-中島みゆき
  △ 生い立ちをたどっているが本人につなげるところがこじつけっぽい
土地の亡者と五人の女-堤康次郎
  × 本人の女性関係(=そこから下の「血脈」)が中心
ひとりぼっちの豪邸-小沢一郎  ○
影を背負って-谷垣禎一
 × 父親のこと中心
流血が産んだアートーオノ・ヨーコ
 ○ 
遅れてきた指揮者-小澤征爾
 ○
皇室で掴んだ幸せ-秋篠宮紀子妃
 × 家系と生い立ちを辿りました、以上終わり
母が授けた改革精神-美智子皇后
 △ 婚約までの逸話が中心。


PS
最終章を読むと、美智子皇后ご成婚のときもバッシングがあったらしいが、それを今と比較する試みを別のところでやってもらいたいと思った。

コメント
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