話題のトピックスについて旬な二人の対談を新書にする、というのはここ数年来定番になりつつあるようで、まえがきとあとがきをそれぞれが分担する、というあたりも皆同じ。
この本は佐藤優・池上彰という多作の二人が民族問題・宗教問題を中心にイスラム国、欧州、朝鮮半島問題を中心に話題にしている。
池上氏の解説は相変わらずわかりやすいし、佐藤氏のエピソードと系統的な解説も面白い。
短時間で読めるうえ、知識の乏しいイスラム国・中東諸国の関係などは参考になるところが多い(決して皮肉でなく)。
印象に残ったのが情報源に関するくだり
(佐藤)
・・・何かを分析するときは、信用できそうだと思う人の書いたものを読んで、基本的にその上に乗っかること。その上で、「これは違う」と思ったら乗っかる先を変える。
信用できる人の数は、英語の世界でも、ロシア語の世界でも限られています。私なら、日本語文献で乗っかれる人は、10人もいない。だからその10人をきちんと自分のなかにリストアップしておいて、この分野だったらこの人が強い、というのを心得ておくことです。
(池上)
その10人を選ぶときには、時間の経過が必要です。たとえば、予測や分析ということで、いろんな人がいろんなことを言っている発言をスクラップの形などで取っておいて、時間が経ってから、その人が何を言っていたかなと振り返るのです。
ときに、とんでもない間違いをしていたりすることがある。もちろん、人間ですから過ちはある。しかし、自分の過去の失敗に口を拭っていたりする人は、やはり信用できない。それに対し、たとえ間違っても、「私はこう言っていたけれど大きく見通しが外れました。申し訳ない」と正直に言う人は、かなり信用できますね。