アメリカ大統領予備選でドナルド・トランプが躍進している。
今まで政治に取り残されてきた層の支持を得ていること、イデオロギーの一貫性よりは論点ごとに受けそうな結論を選んでいるところ、ツイッターの多用やメディアへの露出など、橋下徹と似ている--少なくとも類似点と相違点を分析するのは面白いのではないか--と思うのだが、それについて指摘しているマスコミはないように思える(あるのかもしれないが、大手メディアではないようだ)。
本書は、大阪府知事になってからの橋下徹に対してメディアがどういうスタンスをとってきたか、その結果メディアの側が橋下知事/市長を忖度するようになってしまったかを、関係者への取材をもとに検証している。
そこには、「怒鳴り返せば黙る」ようになってしまった「批判されたくない」メディアの姿勢、芸能人などの応援団が多く敵に回せない関西メディア、大阪には「政治部」がなく社会部が担当する体制、とりあえず数字が欲しいために政策でなく個人のキャラクター中心の番組作りになってしまうTVなど、さまざまな要因が重なり合っている。
いわば、橋下自身が視聴者の欲求を映すメディアでありつづけた、この6年間だった。
やはり、トランプの躍進と似ているように思うのだが、それは素人の短絡なのか。
それともメディアの自己規制--改憲をめぐる大阪維新と自民党の接近などの情勢も含めて--でもあるのだろうか?