一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

自転車の3人乗り「解禁」

2009-07-01 | よしなしごと

もともと「3人乗り」は子供を保育園や幼稚園に送迎したり、買い物に連れて行くために主婦(や主夫)の強い要望があったのでしょうが、ここまで細かい基準を定めてそれを満たせば「容認する」という法規制のありかたには疑問を感じます。

「3人乗り」さあ解禁
(2009年06月30日 朝日新聞)  

7月1日から、自転車のルールが変わる。都道路交通規則の改正で、幼児(6歳未満)を自転車の前と後ろの座席に乗せる「3人乗り」が認められる。ただし、強度やブレーキ性能、駐輪時やこぎ始めの安定性などの要件を満たした専用の自転車に限る。また、携帯電話で話しながらや、傘を差しながらの運転も禁止になる。 

これまで都道路交通規則では、運転する人が幼児用座席に1人乗せ、もう1人をおんぶひもなどで背負って運転することは許されていたが、前と後ろの座席に乗せる3人乗りは禁止だった。
 
警察庁が、要件を満たした自転車なら3人乗り容認の方針を表明したのを受け、都公安委員会が規則を改正した。

新しいルールというのはこちら。

でも、もともとOKだという背負って運転(*1)というのも、転倒したときのことを考えるとけっこう危険なように思います。

そして新しい要件(*2)を満たした自転車というのがこちら

転倒の際に子供の頭部を守るために、座席が相当ごつくなっています。
これで安定性も確保するために重心を低くすると、車重は相当重くなっているのではないでしょうか。あえて二輪車として作るよりは三輪車にしたほうがいいように思います。
価格も座席つきで6万円くらいとかなりの値段です。

この自転車がお墨付きを得たから(そして大枚をはたいたから)と人の多い商店街や歩道を走り抜けるのは逆に怖い感じがします。
座席の角はちょうど歩行者の顔の高さですし、いろんなところにぶつかりそうです。 

同課は、警察官が違反を見つければ指導するとしているが、指導に従わないなど悪質な場合は交通切符を切るという。道路交通法に基づき5万円以下の罰金が科せられる可能性がある。

などといっても、従来も罰金を課していない中で、どこまで効果があるか疑問です(それに、「そんな自転車を買う金のない者への差別だ、格差助長だ」などという声も出そうです。)。  


そもそも子供を好き好んで危険にさらそうという親はいないわけですから、「子供にはヘルメットをかぶせる(*3)」「固定した座席に安定して座らせる」などの最低限のところを義務付け、あとは自己責任(万が一事故になったとしても、怪我をするのは自分の子供なわけですから)にしていいのではないでしょうか。
その意味で被害者が自転車に乗っている本人でない場合も多い(であろう)携帯電話や傘の規制とは意味が異なると思います。  

ちょうど週末にこんな感じのものに子供を2人載せている人を見かけました。

 チャイルドトレーラー という商品のようです。 
これは東京都道路交通規則には違反しているように思えますが、上の自転車よりも転倒や衝突に関しては安全なようにも思えます。



子供を安全に自転車で運ぶ方法までをお仕着せにする必要はあるのでしょうか。  

そのうち三輪車や自転車で外を通行する年齢に制限をつけたり、「子供自転車免許」を作ろうという方向に行くかも・・・



(*1) 東京都交通安全規則10条1号オではこんな風な規定になってます。

16歳以上の運転者が6歳未満の者1人を子守バンド等で確実に背負つている場合の当該6歳未満の者は、アからウまでの規定の適用については、当該16歳以上の運転者の一部とみなす。

改正後もこの条項は生きるとすると「子守バンド等で確実に背負っている」という曖昧さとのアンバランスは際立ちます。


(*2) 東京都交通安全規則の改正部分の文言がわからなかったのですが、警視庁のサイトによると「幼児2人同乗用自転車」という用語ができ、「運転者のための乗車装置と2つの幼児用座席を設けるために、必要な強度、制動性能等の要件を満たす特別な構造又は装置を有する自転車のこと。 」と定義されているようです。
「要件」はどこが決めるのか不明ですが、

幼児2人同乗用自転車は、JIS、BAA、SGなど、自転車の車体の安全性を示すマークが付いたものを使用するようにしましょう。

とあるので、既存の規格に委ねるのかもしれません。そうだとすれば、二人乗りの乗り方も限定せずに、上のチャイルド・トレーラーなど、いろいろな工夫に対し安全性を評価するようにしたら言いと思います。

 
(*3) 道路交通法63条の10では努力義務になっていますが、自転車の基準を作るより、こっちを義務化したほうが安全のためには実効性が高いと思います。

(児童又は幼児を保護する責任のある者の遵守事項) 
第63条の10 児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児を自転車に乗車させるときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。



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