小渕優子経産大臣の政治資金問題が話題になっている。
ただ、本件は小渕氏だけの問題ではなく、他の議員にもかかわる構造的な問題を含んでいるように思う。
『世襲議員のからくり』で触れたように、
政治家個人の持つの政治資金管理団体間の寄付は非課税であり、親政治家の政治資金管理団体が子政治家の政治資金管理団体に無税で寄付をすることで、政治活動資金をそっくり「相続」できる。
また実質親政治家のみを支持する「政治団体」が支持対象を子政治家に変更すれば、その政治団体の資金は子政治家が(当然無税で)引き継ぐこともできる。
という世襲議員に有利な仕組みがある。
このため二世(三世)議員や、引退した議員の地盤を引き継いだ一年生議員(自民→民主→自民の政権交代のなかでけっこう出ている)政治資金団体を引き継いでスタートできるというアドバンテージがある。
一方で、政治資金団体と同時に引き継ぐ金庫番や地元秘書などのスタッフは支持基盤を取りまとめているため、選挙区対応は地元スタッフにまかせられす反面、議員本人が口出しをできない、いわばガバナンスの効かない状態になりやすい。
父恵三氏の急逝で出馬することになった小渕優子氏もこういう状況だったのではないか。
小渕氏本人は事実関係を調査した後、自分の責任の取り方を明らかにする、というスタンスのようで、現時点ではそれが満点の対応だと思う。
落とし所は「古い体質の地元スタッフの不適切な行為に対する監督責任」というあたりになるのだろうか。
今回の対応をきちんとやれば、大臣を辞任しても次を待てばいいし(原発再稼働などの対応を回避できるともいえる)、事態の収拾を上手くやって安倍内閣のダメージを最小限にすれば、自民党内の評価は落ちることはないと思う。
地元の後援会幹部などは「自分たちの不始末で優子さんに迷惑をかけた」という意識があるとすれば、より結束が強まるかもしれない。
ただ、本来問うべきは、「古い体質の地元スタッフとそれを可能にする父親からの政治資金を当然に引き継ぐことができる」という仕組みなのではないか。