東電の福島原発の炉心溶融について、事故当初の想定が甘かったことについて、日経新聞では
専門家は「電源喪失によって喪失されていた次章が、次々とシナリオ通りに起こっていった」とみる。
朝日新聞は
専門家は、燃料は冷却水から露出したことがわかった時点で、詳細な解析を待つまでもなく溶融の可能性を指摘していた。
という指摘をしています(いずれも5/25朝刊)。
しかし、少なくとも「東電は震災後しばらく、燃料棒が一次露出し、一部で損傷していると述べ」(日経)ていたで、マスコミとしても事故当初から専門家に取材して、炉心溶融や水素爆発の可能性を認識していたのではないでしょうか。
記者会見などで「メルトダウンはしてないのか」という質問をしたとしてもそれがyes/noの質問にとどまり、結果的に東電の発表を鵜呑みにして報道したとしたら、上の批判は天ツバのように思います。
逆に、事故当初「炉心溶融の可能性もあるが現状は差し迫った危険はないのでパニックになるような報道は控えてくれ」と言われていたらマスコミ各社はどうしたのでしょうか。
これで思い出すのが古い話ですが、山一證券破綻のときに安田信託銀行に解約を求める預金者が殺到した時の話。
どこかの支店で店を取り囲むくらいの列ができたところを取材したNHKに対して大蔵省(当時)から「取り付けと誤解するから」と報道をやめるようにという要請があったとか。現場は「これが取り付けでなかったら何が取り付けなんだ」と怒っていたそうですが、結局NHKは自粛に応じたそうです。
この件、Wikipediaによると「各マスコミもこの「取り付け騒ぎ」を報道するのを控えた」ということなので、NHKだけの問題ではなかったようです。
当時はまだ政府と報道機関の馴れ合い友好関係があったけど今は違うのでしょうか。
政府との関係如何にかかわらず、要請に反して報道することは、「社会不安を招いた」と結果的に非難されるリスクをとることになります。
それが取れないのであれば、今回「メルトダウン」を「隠蔽していた」と非難しても仕方ないよです。(逆に隠蔽されていてラッキーだったかもしれません。)
そのへん、マスコミのほうも自己検証してみたらいいと思うのですが。