会社の定年退職金は、750万円とします。退職金制度は、「会社は毎月前払
い退職金を支払い、それを従業員が個人型DCで積み立てる」仕組みです。
個人型DCの運用利回りを2.5%(30年国債の平均利回り)とすると、38年間※
の運用で750万円の定年退職金とするためには、毎月の前払い退職金は1万
円になります。(※22歳入社60歳定年)
会社が1人の従業員に支給する、前払い退職金の総額(38年間)は、456万円
です。会社は、456万円の負担で760万円の退職金を支払ったことになります。
但し、社会保険料が増えますが、社会保険料は前払い退職金1万円に対して
掛かるのではなく、標準報酬月額に対してで、標準報酬月額は、等級ごとに
幅がありますので、1万円が直ぐ等級に反映されるわけではありません。
従業員は、前払い退職金を受け取って、それを給与に上乗せしたままのお金
にしておくと、所得税・住民税の対象となります。前払い退職金を個人型DC
の掛金とすると、小規模企業共済等掛金控除の対象となり、その分税金が
安くなります。控除額の上限は月額18,000円ですので、前払い退職金に自分
のお金を8,000円プラスして、個人型DCの掛金をすることができます。
18,000円を38年間2.5%で運用すると、1,367万円となります。掛金1万円の場
合より607万円多くなります。
企業型DCでは、確定拠出年金法の決まりがあり、それに則った制度を作り、
厚生労働省の認可が必要ですが、個人型DCを使う場合は、会社の制度とし
ては前払い退職金制度なので、そういった制約はありません。企業の任意の
制度が作れます。
前払い退職金を個人型DCで積み立てる退職金制度は、事業主にとって負担
の軽い制度といえます。
従業員にとっては税制の優遇措置のメリットを使った老後生活資金をつくる
手段となります。
→税制の優遇措置については、10月23日と24日のブログをご覧下さい。
●確定拠出年金のことを、DCといいます。
DCは、defined contributionを略したものです。