褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 浮き雲(1996) 希望の灯が少しだけ見えます

2012年01月03日 | 映画(あ行)
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 ハリウッド映画を観ていると、もしかして俺も大金持ちになれるんじゃないかと勘違いしてしまうときがある。最近ではFacebookの創始者のマーク・ザッカーバーグを描いたソーシャル・ネットワークを観てると、一攫千金のビジネスチャンスなんてそこら辺にたくさん転がってるんじゃねぇ~の?なんて軽く考えたり、ダニエル・デイ=ルイス主演のゼア・ウィルビー・ブラッドを観ていると、俺の家の庭をちょっと掘ったら温泉が出てきたりしてなんて考えたり、ちょっと古いところでマイケル・ダグラス主演のウォール街を観て、ナンダカンダ言ってもやっぱり投資して儲けるのが1番手っ取り早いよな、なんて危ない橋を渡ろうかなという誘惑に魅せられる。
 大金持ちイコール人生の勝ち組みという考えから抜け出せず、これらの映画の主人公達は良くも悪くも魅力的なんて思ってしまう俺はやっぱりアホ。

 そんな強欲な自分に人生の本当の価値観について考えさせてくれる映画が今回紹介するフィンランド映画の浮き雲です。内容は慎ましくも幸せな生活をしていた夫婦だったが、2人とも不景気のあおりを喰って失業してしまう。そんなどん底状態のピンチに立たされた夫婦に明るい未来は来るのだろうか?というストーリー。なかなか物事が上手く行かず、転落していくこの夫婦を見ていると本当に他人事とは思えない映画です。
 しかしながら失業と言う暗く重たいテーマを扱いながらも、出演者たちの台詞が少なく、無表情な演技からは大して悲壮感は無く、淡々とした雰囲気があります。そして軽く繰り出すお笑いのジャブが個人的にはツボ。ワンカットで1つ笑いを意図しているような演出を感じますが、3割ぐらいカル~ク笑える(けっこう高打率だと思うのですが?)
 ハリウッド映画のような派手さは無いですが、普通の労働者の哀歓をユーモア、そして人生ってこんな感じだよな~と考えさせてくれる浮き雲を紹介します

真夜中の虹/浮き雲 [DVD]
アキ・カウリスマキ
アップリンク


  フィンランドのヘルシンキにおいて。バスの運転手の夫のラウリ(カリ・ヴァーナネン)とかつては名門だったレストランで給仕長をしている妻のイロナ(カティ・オウティネン)は慎ましく、普通の生活をしていた夫婦。
 ある日、不景気のアオリを受けてラウリ(ヴァーナネン)は運転手をクビになってしまう。彼は仕事が無くなってしまったことを妻のイロナ(オウティネン)になかなか言い出せないでいた。ようやく酒の力を借りてイロナ(オウティネン)にクビになったことを話すことができたのだが、仕事が見つからずに毎日を酒を飲むことに費やしてしまっている。
 そして、イロナ(オウティネン)の働いているレストランも大手チェーン店に買収されてしまい、彼女も仕事を無くして、夫婦で職安に通うことに。

 ラウリ(ヴァーナネン)は長距離トラックの運転手に雇用されることが決まりかけたが、健康診断で異常が見つかってしまい働くどころか、運転免許証まで取り上げらてしまう。一方、イロナ(オウティネン)は安食堂店のレジ係りとしての仕事を見つけるが、実はそこの店は不正商売で彼女は結局、給料が貰えないまま仕事を辞めることに。

 そんな2人は車を売って得たお金を資金にレストランを始めようとするが、更にその資金を増やすためにギャンブルに手を出してしまい・・・明日住む場所も無くなってしまう絶望感に陥りながらも、ほんの少しの希望を見出すことのできる展開は映画を観てください



 内容はリアルに悲惨なストーリーですが、これが意外にも前述したように観ている間は悲壮感はあんまり無いです。映像は簡潔、登場人物の台詞は少なく、おまけに無表情、そして軽く笑えます。挿入されている音楽が一番盛り上がっている感じがしましたが、気のせいでしょうか

 ちなみに監督はひたすらちょっとイケテナイ人達を描き続けるアキ・カウリスマキハリウッド映画のような派手作品とは正反対の作風ですが、個人的にお気に入りの監督です。
 お勧め作品は過去のない男、そしてかなり笑える作品としてはレニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカを挙げておきます

 ちなみにDVDで一緒に収録されている真夜中の虹もなかなか良い感じです

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