シリアスなサスペンスからロマンティックコメディまで幅広い分野において多くの名作を世に送り出した名匠中の名匠ビリー・ワイルダー監督。そんな彼のいかにも洗練されたユーモアおよびストーリーテラーとしての才能が発揮された作品が今回紹介する映画アパートの鍵貸します。とにかく大いに笑わせ、チョッピリ涙が出そうになる人情ドラマだ。ちょっと映画好きの人ならば、この映画が名作だということぐらいは知っているが、もう本当にこのような笑いと苦さを感じる映画はもう出てこないだろう、と思えるぐらいの名作。
ちなみに俺が映画にはまる切っ掛けとなった作品でもあり、この映画と出会えたから今でも俺は生きている。決して大袈裟な表現でもなく、それぐらい感謝している映画である。
アメリカの企業というのは実力の社会と言われるが、なかなかドライで出世争いが厳しく、個人主義。そんな中でジャック・レモン演じるしがない平社員のサラリーマンが上司達に媚びる姿にペーソスとユーモアの両方を感じるが、その微妙なサジ加減が抜群だ。出世のためでもあり、クビを切られないために自分のマンションの部屋を上司の課長達に逢引きの場所として貸すという設定だが、一歩間違えれば生々しいリアルすぎる世界になってしまいそうだが、登場人物達がやたら面白いことを言うので楽しい気持ちで観ることができる。
しかし、クリスマスシーズンの寒い時期に上司の課長達に部屋を貸して、自分は外のベンチで寝ていて翌日風邪をひきながらも会社に出社したり、隣の部屋の住人や大家さんから大いに勘違いされたり、中国の文化大革命の如く四人組の妙にチームワーク抜群の課長達に部屋を貸すための予約のスケジュールを立てるのが仕事よりも忙しかったり、さらには部長から目を付けられて、その部長にまで部屋を貸さなければならない状況に陥ったり、とても哀しい目に遭ってしまう。しかし、ウィットに富んだ台詞が連発し、ジャック・レモンを始めとする役者たちが抜群のコメディセンスを発揮し、ビリー・ワイルダー監督の卓越した演出が観ている我々を大爆笑の渦に巻き込んでしまう。
そして後半はジャック・レモンが憧れていた会社のエレベーターガールを演じるシャーリー・マクレーンとの、恋の行方も非常に気になる展開が繰り広げられる。
さて、大企業に働く平社員の哀愁がチョッピリ漂う笑える映画のストーリーとはいかなるものか。
ニューヨークの超高層ビルで保険会社の平社員として働く独身のバクスター(ジャック・レモン)は、みんなが定時で帰っても一人だけ居残りして残業する頑張り屋さん、と言うのは嘘。実はバクスター(レモン)の住んでいるアパートの部屋を上司である4人の課長達にラブホテル代わりに貸しているため、アパートに早く帰りすぎても仕方が無いという状況。しかし、それもこれも自分の出世のためだ。それによってバクスター(レモン)の勤務評価は上昇して、人事部長であるシェルドレイク(フレッド・マクマレイ)は課長たちからバクスター(レモン)の昇進を持ちかけられる。
ところがシェルドレイク部長(マクレイ)はどうしてバクスター(レモン)が課長連中から人気があるのか不思議だったため、あの手この手を使って情報収集して真相を確かめる。そして、家庭持ちであるシェルドレイク部長(マクレイ)までもがバクスター(レモン)のアパートの部屋をラブホテル代わりに使わせることを要求し、しかも合鍵を作らさせられることになってしまう。
しかし、そんな苦労のかいもあって、バクスター(レモン)は課長に出世することに成功。すっかり気分を良くした彼は前から憧れていた会社のエレベーターガールであるカワイコちゃんのフラン(シャーリー・マクレーン)とデートする約束をするのだが、なぜかフラン(マクレーン)は待ち合わせの時間と場所にやってこない。
しかし、翌日にとんでもない事実が発覚。シェルドレイク部長(マクレイ)の浮気相手はフラン(マクレーン)だったのだ・・・
上司たちに媚びるバクスター(レモン)の行動はあんまり見ていて気持ち良いものではないが、実はけっこうな好青年。本当は課長達4人組が女を連れ込んで騒いでいるのに、大家さんや隣人から文句を言われるが、その責任は全部自分が引き受けるような男らしい一面も見せる。でも、よく考えてみれば、それも出世のため、そして良い人過ぎるのが原因だが。
しかし、定番ではあるが出世よりも、もっと大切な事のためにバクスター(レモン)が取った選択は大いに感銘を受けるし、チョッピリほろ苦い結末もなかなか余韻があって良い。だけどこの後のバクスター(ジャック・レモン)とフラン(シャーリー・マクレーン)の未来はどうなるのだろうと考えさせられるが、やっぱり名作はこれぐらい奥が深くないといけない。
しかし、この映画の凄さは色々な小道具や音が活かされた演出。割れたコンパクト鏡、テニスラケット、シャンパーンの音、そして映画マニアにはマリリン・モンローを意識させるようなシーンも非常に楽しい演出だ。
そして本作はキャストの演技も見どころ。ジャック・レモンの演技は最高に笑えるし、シャーリー・マクレーンがとてもキュート。隣人のお医者さんも重要な役割を果たすが、この人も良い味を出している。
きっと誰もが本作品を観終えた後は『本当に、良い映画を観たな~』と感じることは間違いない
アパートの鍵貸しますは名作に有りがちな、取っ付き難い感じは全く無い。このブログを読んでくれた人には、絶対に観て欲しい映画で、超お勧めだ
監督は前述している通り、名匠ビリー・ワイルダー。お勧め映画は多くあるが、思いつくまま列挙すると、深夜の告白、サンセット大通り、第十七捕虜収容所、情婦、お熱いのがお好き、麗しのサブリナ、昼下がりの情事、ワン・ツー・スリー、翼よ!あれが巴里の灯だ、あなただけ今晩は、シャーロック・ホームズの冒険、フロント・ページ。どれも名作の誉れが高く、お勧めばかり。このように彼の作品を並べるだけでも、改めて凄い監督だったんだと思い知らされます。
主演のバクスターを演じたのがジャック・レモン。本作品を観ると、コメディ専門の俳優に思えますが、実はシリアスな演技も得意とする名優。ビリー・ワイルダー監督との作品も多く、お熱いのがお好き、あなただけ今晩は、フロント・ページでも名演技を見せます。
シリアスの路線では原発の恐怖を描いたチャイナ・シンドローム、コスタ・ガヴラス監督、シシー・スペイセク競演のミッシングがお勧め。
フランを演じたのがシャーリー・マクレーン。今でもバリバリ活躍している女優さん。彼女の可愛い時の作品ならばアルフレッド・ヒッチコック監督のハリーの災難がお勧め。ビリー・ワイルダー監督とはあなただけ今晩はでも組んでいます。
年齢を重ねてからは、ジェームズ・L・ブルックス監督、デブラ・ウィンガー、ジャック・ニコルソン競演の愛と追憶の日々、ハーバート・ロス監督、ジュリア・ロバーツ、ダリル・ハンナ競演のマグノリアの花たちがお勧め。
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ちなみに俺が映画にはまる切っ掛けとなった作品でもあり、この映画と出会えたから今でも俺は生きている。決して大袈裟な表現でもなく、それぐらい感謝している映画である。
アメリカの企業というのは実力の社会と言われるが、なかなかドライで出世争いが厳しく、個人主義。そんな中でジャック・レモン演じるしがない平社員のサラリーマンが上司達に媚びる姿にペーソスとユーモアの両方を感じるが、その微妙なサジ加減が抜群だ。出世のためでもあり、クビを切られないために自分のマンションの部屋を上司の課長達に逢引きの場所として貸すという設定だが、一歩間違えれば生々しいリアルすぎる世界になってしまいそうだが、登場人物達がやたら面白いことを言うので楽しい気持ちで観ることができる。
しかし、クリスマスシーズンの寒い時期に上司の課長達に部屋を貸して、自分は外のベンチで寝ていて翌日風邪をひきながらも会社に出社したり、隣の部屋の住人や大家さんから大いに勘違いされたり、中国の文化大革命の如く四人組の妙にチームワーク抜群の課長達に部屋を貸すための予約のスケジュールを立てるのが仕事よりも忙しかったり、さらには部長から目を付けられて、その部長にまで部屋を貸さなければならない状況に陥ったり、とても哀しい目に遭ってしまう。しかし、ウィットに富んだ台詞が連発し、ジャック・レモンを始めとする役者たちが抜群のコメディセンスを発揮し、ビリー・ワイルダー監督の卓越した演出が観ている我々を大爆笑の渦に巻き込んでしまう。
そして後半はジャック・レモンが憧れていた会社のエレベーターガールを演じるシャーリー・マクレーンとの、恋の行方も非常に気になる展開が繰り広げられる。
さて、大企業に働く平社員の哀愁がチョッピリ漂う笑える映画のストーリーとはいかなるものか。
ニューヨークの超高層ビルで保険会社の平社員として働く独身のバクスター(ジャック・レモン)は、みんなが定時で帰っても一人だけ居残りして残業する頑張り屋さん、と言うのは嘘。実はバクスター(レモン)の住んでいるアパートの部屋を上司である4人の課長達にラブホテル代わりに貸しているため、アパートに早く帰りすぎても仕方が無いという状況。しかし、それもこれも自分の出世のためだ。それによってバクスター(レモン)の勤務評価は上昇して、人事部長であるシェルドレイク(フレッド・マクマレイ)は課長たちからバクスター(レモン)の昇進を持ちかけられる。
ところがシェルドレイク部長(マクレイ)はどうしてバクスター(レモン)が課長連中から人気があるのか不思議だったため、あの手この手を使って情報収集して真相を確かめる。そして、家庭持ちであるシェルドレイク部長(マクレイ)までもがバクスター(レモン)のアパートの部屋をラブホテル代わりに使わせることを要求し、しかも合鍵を作らさせられることになってしまう。
しかし、そんな苦労のかいもあって、バクスター(レモン)は課長に出世することに成功。すっかり気分を良くした彼は前から憧れていた会社のエレベーターガールであるカワイコちゃんのフラン(シャーリー・マクレーン)とデートする約束をするのだが、なぜかフラン(マクレーン)は待ち合わせの時間と場所にやってこない。
しかし、翌日にとんでもない事実が発覚。シェルドレイク部長(マクレイ)の浮気相手はフラン(マクレーン)だったのだ・・・
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上司たちに媚びるバクスター(レモン)の行動はあんまり見ていて気持ち良いものではないが、実はけっこうな好青年。本当は課長達4人組が女を連れ込んで騒いでいるのに、大家さんや隣人から文句を言われるが、その責任は全部自分が引き受けるような男らしい一面も見せる。でも、よく考えてみれば、それも出世のため、そして良い人過ぎるのが原因だが。
しかし、定番ではあるが出世よりも、もっと大切な事のためにバクスター(レモン)が取った選択は大いに感銘を受けるし、チョッピリほろ苦い結末もなかなか余韻があって良い。だけどこの後のバクスター(ジャック・レモン)とフラン(シャーリー・マクレーン)の未来はどうなるのだろうと考えさせられるが、やっぱり名作はこれぐらい奥が深くないといけない。
しかし、この映画の凄さは色々な小道具や音が活かされた演出。割れたコンパクト鏡、テニスラケット、シャンパーンの音、そして映画マニアにはマリリン・モンローを意識させるようなシーンも非常に楽しい演出だ。
そして本作はキャストの演技も見どころ。ジャック・レモンの演技は最高に笑えるし、シャーリー・マクレーンがとてもキュート。隣人のお医者さんも重要な役割を果たすが、この人も良い味を出している。
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監督は前述している通り、名匠ビリー・ワイルダー。お勧め映画は多くあるが、思いつくまま列挙すると、深夜の告白、サンセット大通り、第十七捕虜収容所、情婦、お熱いのがお好き、麗しのサブリナ、昼下がりの情事、ワン・ツー・スリー、翼よ!あれが巴里の灯だ、あなただけ今晩は、シャーロック・ホームズの冒険、フロント・ページ。どれも名作の誉れが高く、お勧めばかり。このように彼の作品を並べるだけでも、改めて凄い監督だったんだと思い知らされます。
主演のバクスターを演じたのがジャック・レモン。本作品を観ると、コメディ専門の俳優に思えますが、実はシリアスな演技も得意とする名優。ビリー・ワイルダー監督との作品も多く、お熱いのがお好き、あなただけ今晩は、フロント・ページでも名演技を見せます。
シリアスの路線では原発の恐怖を描いたチャイナ・シンドローム、コスタ・ガヴラス監督、シシー・スペイセク競演のミッシングがお勧め。
フランを演じたのがシャーリー・マクレーン。今でもバリバリ活躍している女優さん。彼女の可愛い時の作品ならばアルフレッド・ヒッチコック監督のハリーの災難がお勧め。ビリー・ワイルダー監督とはあなただけ今晩はでも組んでいます。
年齢を重ねてからは、ジェームズ・L・ブルックス監督、デブラ・ウィンガー、ジャック・ニコルソン競演の愛と追憶の日々、ハーバート・ロス監督、ジュリア・ロバーツ、ダリル・ハンナ競演のマグノリアの花たちがお勧め。
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