褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 ソフィーの選択(1982) ナチスによる傷跡は永遠に消えない

2018年01月01日 | 映画(さ行)
 明けましておめでとうございます。昨年は公私ともに、どうでも良いことで忙しくなってしまい、すっかりブログをサボり気味。今年はもっと自分自身のテンションを上げて更新するようにしますので本年もよろしくお願いします。
 さて、新年一発目はできるだけ年明けに相応しくユル~イ内容の映画を毎年紹介するようにしているのだが、今回は珍しくメンタル的にタフな映画を紹介しよう。
 ウィリアム・スタイロンによるアメリカで最も権威のある賞であるピューリッツァー賞を受賞した同名タイトルの原作を映画化した作品が今回紹介するソフィーの選択。田舎からニューヨークに出てきた作家志望の童貞の青年、気が短い荒れくれ男、なんだか悲劇が付きまとっているかのような幸が薄そうな女性。この3人の織りなすドラマが展開されるが、そこに誰もが知っている怖いナチスが絡んでくるストーリー。ナチスをモチーフにした映画なんかはたくさんあるが、そのような映画でよく見かけるのが、最初から最後まで非人道的な行為を繰り返すナチスの残虐さ。しかし、本作はそのような場面に大して時間を割いていない。しかし、それ故にピンポイントでナチスの残した大きな傷跡を観ている我々は痛感し、その傷跡は永遠に消えないことを実感するのだ。

 少々奇妙に感じる3人の人間関係が軸に展開されるが、次第にヘビーな気分に襲われるストーリー紹介を簡単に。
 第二次世界大戦が終わって2年後の1947年のこと。アメリカの南部に住む青年のスティンゴ(ピーター・マクニコル)はニューヨークのブルックリンに自分探しの旅にやってくる。安いアパートを見つけて滞在しようとするが、何やら大声が聞こえてきた。
 それはネイサン(ケヴィン・クライン)が怒鳴り散らし、ソフィー(メリル・ストリーープ)が泣き喚いているのだった。収拾不可能なネイサンのソフィーに対するドメスティックバイオレンスかと思いきや、直ぐに2人は仲直りし愛し合う。そんな2人に巻き込まれるようにスティンゴは次第に彼らと親しくなっていくのだが、やがて2人の隠された秘密を知っていくことになり・・・

 第二次世界大戦中のヨーロッパを恐怖のどん底に陥れたナチス。ナチスの罪は多くの人命を奪っただけでなく、理性のある人間の精神を破壊してしまったこともある。タイトル名が示すソフィーの選択を観ている我々が知った時、驚きと共に複雑な心境に襲われる。それは人間の最も尊い物を差し出したソフィーの行動は罪深いことではあるが、果たして誰がソフィーの苦渋の選択を非難することができるのか。
 そして人間はなぜ生きているのか?と言うことが本作を見れば西欧人の観点から少々理解できる。人間は誰しも罪を背負って生きており、生かされているということ。
 そうは言っても何で最後はこのような結末になっちゃったの?なんて俺は思わず考え込んでしまったのだが・・・。
 しかし、今でもナチスドイツ、ヒットラーを題材にした映画が多いが、そのことをとってみても如何に西洋人(アメリカ人も含む)がナチスに対して、大きな衝撃を受けているかが近年の映画を観ていてもわかるが、1982年に公開された本作を観てもよくわかる。
 多くの大衆の賛同を煽り、少しでも反対する人間は消してしまおうとする独裁者の誕生は本当に恐ろしい。反対意見には全く耳を貸さず、自分のイエスマンばかりを集めるような人間は絶対にリーダーにしてはいけないと言うことが歴史を学べばよくわかる。まあ、そのことは本作にはあんまり関係が無いっか。
 今でもメリル・ストリープは主演クラスで活躍している女優ですが、本当に凄い女優さんだと思う。本作でもドイツ語、ポーランド訛りの英語(実のところ英語が話せない、聞き取れない僕にはわかるはずがありませんが)を完璧に操り、女性の両面性を見事に表現するなど流石。彼女のファンなのに本作をまだ観ていない人は必見だ。
 おせち料理の食いすぎ、酒の飲みすぎでお正月気分に浸っている人には少々胃にこたえる映画ではあるが、ゆっくり時間がとれる時に見たい映画として今回はソフィーの選択をお勧め映画として挙げておこう

ソフィーの選択 [DVD]
メリル・ストリープ,ケヴィン・クライン,ピーター・マクニコル,リタ・カリン,スティーヴン・D・ニューマン
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン


ソフィーの選択 [Blu-ray]
メリル・ストリープ,ケヴィン・クライン,ピーター・マクニコル,リタ・カリン,スティーヴン・D・ニューマン
ジェネオン・ユニバーサル


 監督はアラン・J・パクラ。社会派サスペンス映画において傑作を多く遺している名匠。ダスティン・ホフマン、ロバート・レッドフォード競演の大統領の陰謀がお勧め。

 切れると怖いネイサンを演じたのがケヴィン・クライン。芸域の幅広さが魅力の俳優。本作のようなシリアス路線では遠い夜明け、西部劇ではシルバラード、コメディではワンダとダイヤと優しい奴らデーヴがお勧めです。 
 

 

 

 

  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする