褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 さらば愛しき女よ(1975) ハードボイルド映画です

2021年03月14日 | 映画(さ行)
 世界一有名な私立探偵であるフィリプ・マーロウの産みの親である推理小説家であるレイモンド・チャンドラー。ハードボイルド小説の草分け的な人物であり、彼の影響を受けた作家はアメリカのみならず日本にも多い。彼の原作は色々と映画化もされているが、今回紹介するのが彼の中でも代表的な作品であるさらば愛しき女よ。主人公のフィリップ・マーロウを演じるのが、この映画が公開された時、57歳ぐらいであるロバート・ミッチャム三つ数えろのハンフリー・ボガード、ロング・グッドバイのエリオット・グールドなんかのマーロウは凶悪犯に立ち向かう若さとタフさを感じさせられたが、ロバート・ミッチャム版のマーロウは、年齢を増したこともさることながら、虚ろな表情も重なり、非常に枯れた味わいを感じさせる。冒頭の登場シーンにおいて弱音を吐いているところだけなら、探偵稼業を引退寸前のような覇気の無さを醸し出してしまっている。
 
 今や警察から追われる身となってしまい、行方不明者ばかり探し出すことに追われる探偵の仕事に嫌気を感じているフィリップ・マーロウの活躍?を描くストーリーの紹介をしよう。
 1941年のロサンゼルスにおいて。警察から追われることになってしまったマーロウ(ロバート・ミッチャム)は潜伏していた安宿からロス市警の友人でもある刑事ナルティ(ジル・アイランド)を電話で呼びだし、今日も2つの死体が飛び出し、合計7人の死人を出してしまった事件の経過を説明していた。
 ある日のこと、やたら力が強いマロイ(ジャック・オハローラン)という大男と出会い、彼からベルマと言う女性を探して欲しいと頼まれる。マロイは7年間刑務所に入っており、その間元カノのベルマから何の連絡も無かったという。早速、マーロウはマロイと一緒に、かつてベルマが働いていたというナイトクラブに行くのだが、その店はすでに当時とはオーナーが変わっており、店の雰囲気もすっかり様変わりしていた。それでもベルマに会いたいマロイはオーナーを恐喝して彼女の居場所を聞き出そうとするのだが、勢い余って正当防衛とはいえ殺人を犯してしまう始末。マーロウはマロイをさっさと現場から離れさせ、彼に興味をもったマーロウは独自でベルマを探し出そうとする・・・

 冒頭からムードたっぷりの音楽とロサンゼルスの夜の風景がマッチしており、ちょっとばかり大人な雰囲気を感じさせる。そして、ロスの夜景を見下ろすロバート・ミッチャム演じるフィリップ・マーロウが登場するのだが、疲労感を漂わせる私立探偵の姿が人生経験豊富な大人の男を感じさせる。そして、この私立探偵が優秀なのが危険だと分かっていても職務に邁進する姿。しかし、それ以上にツボがハマったのが、彼の口から暗めだが多く飛び出す冗談。これが大なり小なりではあるが、100%の確率で笑える。どれだけの堅物のジジイになっても、常にユーモア精神は持ち続けたいと強く思った。
 そして、個性的な登場人物たちも魅力的。かなり純粋すぎる依頼人である大男、常に笑顔を振りまきながら拳銃や鈍器を使う暗殺者、やたら怪力なおばさん、そして男を滅ぼしそうな怪しい目付きをしたシャーロット・ランピリング演じる魅惑的な謎の美女、そして売れていない頃のシルベスター・スタローンなど、個性的な脇役陣も大いに楽しめる。
 まあ、探偵の行く所々で死人が出てくる展開は、この手の分野においては新鮮さはない。しかし、何かといかがわしいロサンゼルスの街は情緒たっぷりだし、とにかく男という生き物は本当に馬鹿なんだということがよくわかる。溌剌とした元気のいい奴なんか出てこないので、明るい気分になれる映画ではないが、酸いも甘いも多くを経験している大人な人には今回はハードボイルド映画さらば愛しき女よをお勧めとして挙げておこう。



 

 
 
 
 
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