めったにイランの映画を観ることなど無いのだが、今回紹介する映画別離はアカデミー外国語賞を獲るなど、世界中で絶賛されている作品。個人的に本家のアカデミー賞作品は大したことの無い映画が多いような気がするが、アカデミー外国語賞に輝く作品は良質な作品が揃っていると思う。
そんな個人的意見の例にもれず別離も、イラン社会の諸問題が描かれているが非常にスリリングな展開で想像以上に面白い映画だ。
イランの社会問題を扱った映画と聞かされても、まるで興味も湧かない日本人が多数だと思うが、本作品で描かれている社会問題は格差社会、介護、教育、司法など日本も直面している共通の問題が描かれている。決して、日本人が観ても有り得ないようなトンデモな設定ではなく、リアリティが充分に感じさせられる作品だ。
イラン社会のみならず、世界的にも共通できる諸問題が描かれているストーリーとは如何なるものか。
中流階級に属するナデル(ペイマン・モアディ)とシミン(レイラ・ハタミ)の夫婦だが、今や離婚の危機。妻のシミン(レイラ・ハタミ)は11歳になる娘テルメー(サリナ・ファルハーディー)のためにイランを出て外国で暮らしたがっている。しかし、夫のナデル(ペイマン・モアディ)は自分の親父がアルツハイマー及び認知症を患っているために、イランを出ることを望んでいない。
そこで妻のシミン(レイラ・ハタミ)はナデル(ペイマン・モアディ)と離婚をしてでも、外国で暮らすことを司法で訴えるのだが、離婚の要求は却下。
しばらくシミン(レイラ・ハタミ)は実家に帰り、ナデル(ペイマン・モアディ)はラジエー(サレー・バヤト)という貧困層に属し、敬虔なイスラム教徒の女性を親父の介護の世話に雇う。
しかし、ある日のこと、ナデル(ペイマン・モアディ)が家に帰ってくるとラジエー(サレー・バヤト)の姿は無く、しかも親父はベットに縛り付けられて、意識不明の重体に陥っているのを発見。
怒ったナデル(ペイマン・モアディ)は、帰って来たラジエー(サレー・バヤト)を罵倒し、玄関から追い出すが、その時に彼女は階段で倒れこんでしまった。実はラジエー(サレー・バヤト)は妊娠していて流産をしてしまう。
果たしてラジエー(サレー・バヤト)は夫のホッジャト(シャハブ・ホセイニ)と一緒に胎児が流産してしまったことに、殺人事件としてナデル(ペイマン・モアディ)を訴える・・・
冒頭の裁判シーンから想像すると単なる娘の教育のあり方をめぐっての家庭の内輪モメのストーリーかと思いきや、次々に色々なテーマを小分けして出してくる。しかも、次第に事態は深刻になっていくから、観ている側からすると退屈せずに観ることができるのだ。
前述した通り日本と共通する問題が描かれているが、もちろんイランならではの問題も描かれる。イランはイスラム教を国教とする政教一致の国。しかし、この映画においては全くイスラム教が人々の役に立たないどころか、人々の生活を苦しめてしまっていることだ。お金にきれいなイスラム教的な考え方ですら、この国の人々の生活の足を引っ張ってしまっている。敬虔なイスラム教信者の考え方は果たして、これで良いのか?と考えさせられる。
そして登場人物のキャラクターの描き方が、この映画を奥深い作品にしている。悪い人だと思っていたら意外に良い人だったり、またはその逆だったり。オマエ嘘つきじゃんと思っていたら、あれ~オマエもそうなの?と思ったり。
簡単に法や正義だけでは判断できない善悪が登場人物を通して描かれているのが、この映画の凄いところ。非常に意味深なラストシーンも余韻がバッチリ残る。脚本の上手さ、映像表現、イランの社会情勢・・・などもっと書きたいことがたくさんあるのだが、あれやこれやがたがた言わなくても観てもらえればこの映画の凄さが理解できるはず。現代的なテーマ、普遍的なテーマを見事に融合した別離はお勧めです
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そんな個人的意見の例にもれず別離も、イラン社会の諸問題が描かれているが非常にスリリングな展開で想像以上に面白い映画だ。
イランの社会問題を扱った映画と聞かされても、まるで興味も湧かない日本人が多数だと思うが、本作品で描かれている社会問題は格差社会、介護、教育、司法など日本も直面している共通の問題が描かれている。決して、日本人が観ても有り得ないようなトンデモな設定ではなく、リアリティが充分に感じさせられる作品だ。
イラン社会のみならず、世界的にも共通できる諸問題が描かれているストーリーとは如何なるものか。
中流階級に属するナデル(ペイマン・モアディ)とシミン(レイラ・ハタミ)の夫婦だが、今や離婚の危機。妻のシミン(レイラ・ハタミ)は11歳になる娘テルメー(サリナ・ファルハーディー)のためにイランを出て外国で暮らしたがっている。しかし、夫のナデル(ペイマン・モアディ)は自分の親父がアルツハイマー及び認知症を患っているために、イランを出ることを望んでいない。
そこで妻のシミン(レイラ・ハタミ)はナデル(ペイマン・モアディ)と離婚をしてでも、外国で暮らすことを司法で訴えるのだが、離婚の要求は却下。
しばらくシミン(レイラ・ハタミ)は実家に帰り、ナデル(ペイマン・モアディ)はラジエー(サレー・バヤト)という貧困層に属し、敬虔なイスラム教徒の女性を親父の介護の世話に雇う。
しかし、ある日のこと、ナデル(ペイマン・モアディ)が家に帰ってくるとラジエー(サレー・バヤト)の姿は無く、しかも親父はベットに縛り付けられて、意識不明の重体に陥っているのを発見。
怒ったナデル(ペイマン・モアディ)は、帰って来たラジエー(サレー・バヤト)を罵倒し、玄関から追い出すが、その時に彼女は階段で倒れこんでしまった。実はラジエー(サレー・バヤト)は妊娠していて流産をしてしまう。
果たしてラジエー(サレー・バヤト)は夫のホッジャト(シャハブ・ホセイニ)と一緒に胎児が流産してしまったことに、殺人事件としてナデル(ペイマン・モアディ)を訴える・・・
冒頭の裁判シーンから想像すると単なる娘の教育のあり方をめぐっての家庭の内輪モメのストーリーかと思いきや、次々に色々なテーマを小分けして出してくる。しかも、次第に事態は深刻になっていくから、観ている側からすると退屈せずに観ることができるのだ。
前述した通り日本と共通する問題が描かれているが、もちろんイランならではの問題も描かれる。イランはイスラム教を国教とする政教一致の国。しかし、この映画においては全くイスラム教が人々の役に立たないどころか、人々の生活を苦しめてしまっていることだ。お金にきれいなイスラム教的な考え方ですら、この国の人々の生活の足を引っ張ってしまっている。敬虔なイスラム教信者の考え方は果たして、これで良いのか?と考えさせられる。
そして登場人物のキャラクターの描き方が、この映画を奥深い作品にしている。悪い人だと思っていたら意外に良い人だったり、またはその逆だったり。オマエ嘘つきじゃんと思っていたら、あれ~オマエもそうなの?と思ったり。
簡単に法や正義だけでは判断できない善悪が登場人物を通して描かれているのが、この映画の凄いところ。非常に意味深なラストシーンも余韻がバッチリ残る。脚本の上手さ、映像表現、イランの社会情勢・・・などもっと書きたいことがたくさんあるのだが、あれやこれやがたがた言わなくても観てもらえればこの映画の凄さが理解できるはず。現代的なテーマ、普遍的なテーマを見事に融合した別離はお勧めです
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