有名なドガの絵に、踊り子のタイトルで書かれているのは、何れも女性である。中学生の頃には、純真にそうだとばかり思っていた。NHKでの実況では、何と男の人が踊っている。物凄いショックであった。宝塚は、全員が女性であるので、クラシックバレエも同じだと。
ダンスマガジンを定期購読するようになって、熊川哲也さんを知ったが、当時は小さな身体で、あの素晴らしい跳躍ができるのが、不思議でならなかった。バレリーナは、太っていてはなれないと聴き、それにもびっくりした。舞台を飛ぶのには、大きな身体では重たい。
熊川哲也さんの、白鳥の湖。これ程に素晴らしい舞台を、生で観られなかったことが、残念で仕方ない。この迫力!配役も一流なら、テクニックも圧巻で、今までに観た、どの白鳥の湖よりも素敵だった。オデットとオデェールを別人にしたのも好い。いかん、填まった。
マイヤ・プリセッカヤは別格だ。本物の舞台を観た者でないと、あの白鳥を想像できない。チャイコフスキーの中で、瀕死の白鳥を踊っているが、黒鳥に鮮やかに転じる場面に、眩しかった。憧れのバレリーナになりたかったが、貧乏では習わせてはもらえなかったのも。
今朝の寒さは、冬に戻った気温で、厚い氷が張っていた。立春がになったからと言って、直ぐに暖かくなるでなし。梅が咲くのもまだ早い。固い蕾で寒さに耐えているのが、何とも美しい。こちらは背中がつい曲がって、寒さに震えているが、自然の雄大さに大地を踏む。
そろそろ西の地平線近くに、金星が観えてくるはずだ。今年は10月くらいまで、その輝きを堪能できるのもうれしい。宇宙を眺められるのも、地球という星に産まれればこそで、星座の位置も、他からでは捻じれて観えたりもするようだ。この青い星を、核で汚さないで。
明けの宇宙に、薄く白い月が浮かぶ。満月を過ぎたので、夜半に昇ってくるのが遅くなって、明け方の空に観えている。通勤で空にまで眼をやる者は少ないのか、天の青ささえ、気づかずにいるのかも知れない。愚かなる人類の滅亡も決まっているのを知らないでいる。
昨年の春分の夕方。暮れなずむ宇宙に、月と金星が並んでいる。皆、気忙しく往来して、恒星や惑星に見向きもしない。