JR京都駅から北へ向いて入った路地にある。
昭和21年創業。屋号は先代おやじがへんこつだったことから。
八丁味噌を使ってグツグツ煮込んだ味噌テール煮込みが名物。
とろとろ。手づかみでワイルドに食う。旨い!
素人は齧った勢いで汁を飛ばす危険性あり。
テールはサイズによって、@850~
17時開店。みるみるカウンターは客でいっぱいとなった。
鍋前が特等席だ。
大鍋がいくつも並び、順々に火が通ったものから、直径80センチはあろうかというメインの鍋に移される。おでん、こんにゃくとじゃがいも。
つる軒の味噌おでんのように、煮ぬきも欲しいところだが、ない。
あと大根もない。
よく沁みた豆腐。カウンター後ろに味噌が配備されていて、すぐに鍋に溶けるようにスタンバイしている。名古屋風。一見ものすごく濃そうだが、食べてみるとそうでもない。つゆも飲み干す。酒は日出盛。
すじ680~ キャラメル状のアキレスが官能的な旨さ。
他にサルベージという、鍋底の引揚げ作業をした
肉やらスジやらアキレスやらタケノコのミックスもある680~
ルックスは実にすさまじい、これぞ戦後闇市でシチューや、煮こみという名で兵隊がへりが啜っているようなイメージさえ想起させた。
ノーマークだった京都駅北エリア。探る必要性ありだ。
へんくつ 京都駅北 京都タワー東路地
かにかくに祇園は恋し寝るときも
枕の下を水の流るる (吉井勇)
こんな歌は相当花街に通い、金をつぎ込んだ粋人にしか描けやしない。実家の反物屋、帯屋の一軒もつぶさねばダメだ。
そんな境遇にもなければ、そんな豪胆な覚悟の持ち合わせもない。
しょうがないから、ツテをたどって細い縁をたどって、行くのである。
それが・・・我輩にとってのお茶屋というものだ。
「おニイさん、おたのもうします~」
「こっち来い、こっち来い。ワシャ、かふいう者です」
口あけはこんな風に名刺交換が始まったりもする。
祝儀もはずむでぇ~。
お茶屋は貸席だからして、何か食わしてくれる…なんてものを
期待して行くと大きく裏切られる。
漬物であるとか、おかきや豆やら、北新地のクラブで出てくるものと
そう大差はない。食事がしたけりゃ仕出しをとる。
造りは鯛、車海老、鯒
お、さ々木のようや。だがプラスチック製の刷毛ではどうもならん。
鱧、晩菊のお椀
座敷もきれいで掃除が行き届き、はんなりとした趣がある。
粋なものである。ビールから始まり、焼酎をグイグイいく。
チントンチリツツツンテント~ン…夏は河原の夕涼みぃ~っと。
いいねぇ、静かに酒を傾けつつ京都の歴史を味わうというのは~。
姐さんの三味線で一曲歌わせてもらいたいね。
と、情緒に首までどっぷり浸りたい気だったが、そうはいかぬ。
同行のグループはいつものノリとまったく同じ。京都のお茶屋だろうがキタ新地だろうが法善寺だろうが西成だろうが、関係なしで、
男同士でガンガン盛り上がる。
いつもとおんなじ宴会。いやはや、これはスゴイことや。
おそらく宮中の園遊会によばれても、おんなじノリであろうと悟った。
こんな機会に旦那気分を味わおうなんてスケベ心を持った私が
小物だった。
ぐやじ~!
よって、「は~さん、帰らないで・・・」などと
泣きつかれることは
無かった。
舞妓HAA~~Nたちに送られて、颯爽と夜の街へ。
いやぁ、ええもんどんなぁ。
姐さん方、長時間おつかれさまでした。別世界でした。