今も元気な力餅食堂があると聞いてやってきた、玉出。
力餅食堂が120年も続いてきたのは何か秘密があると睨んでいる。多くは家族経営で後継者問題、売上不振であえぐ店もあれば、こちらのようにまだ職人を雇っている店(と聞いた)もある。
ここの親方は85歳、現在の力餅食堂大阪支部の執行部の長老である。ちょっと仁左衛門に似ている。麺業組合のエライさんでもあるとのこと。
小ざっぱりした紺の暖簾がかかっている。
入口左側には、やはりおはぎなどの甘味コーナーがある。
昼下がり。おひるを取り損ねたか客たちか、ぽつぽつと客足が途切れない。利用者の年齢層は高い。長閑な風景だ。
メニューはオーソドックス。でも同じ力餅でも少しずつオリジナルメニューがあったりして楽しい。
お年寄りには讃岐系のコシのある剛麺を啜りあげるのはつらかろう。やはり柔らかめの大阪風のうどんの方が食べやすいというのは想像に難くない。それに大阪流のちょい甘めのだしが馴染んでいるのだろう。年配に人気がある。これからの高齢社会、力餅が生き残っていくヒントがそこにある気がする。
机の上には星占い付きの灰皿。昔は喫茶店によく置いてたもんだ。物持ちがいいねぇ。
オーソドックスなきつねうどん。大ぶりのきつねが一枚。
直球どストレートにして、優しい味。南船場・松葉家総本家から始まったとされるきつねうどんだが、巷に佳品がいくらもある。
一方こちらは高槻センター街にある力餅のきつね。ザーッと勢いよくだしを注ぎ過ぎるのか、泡が立つのはよろしくない。ここは商店街の中にあるため、買い物客のご婦人たちが多く、ここの中華そばはあっさりとした夜鳴き風で、これまた人気がある。
ここのだしはエッジの利いた濃いめ。先日行った野田と同様、和歌山系の力餅の出身だという。同じ力餅でも教わった親方によって、味が似てくるのも面白い。
町場の食堂のうどん、わざわざ行くご馳走うどんとはもう一つの世界がここにある。美味いだの不味いだのという前に、自分の町の構成要素の一つになっているような日常うどん。ちょっと食べてみたいでしょうが。力餅再発見を唱えたいと思う所以だ。
力餅食堂 玉出店 大阪市西成区玉出西2
高槻店 高槻市高槻町 高槻センター街
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