大阪の台所、木津市場。 民間の卸売市場としてはめっぽう長い歴史を持つ。
戦後の闇市みたいな風貌が数年前に建て替わって、立派な駅舎のようになった。
ここへ来たら、素通りできない店が一軒。
いかに建物が新しくなろうとも、看板が一新されても変わらない。
私のようにたまに行く客ではなく、デイリーの客がメインだから、
変わらないということが大事。 安心感でめしが食える。
意外とそんなことって大事。
店はお母ちゃんと息子伸五。市場の食堂の雰囲気を伝える、今では貴重な店。
こぎれいに変えてしまうと、その雰囲気はなくなってしまう。
マグロ屋オクセを継いで、今年亡くなった長男秀介くんの遺影。
まず店に入るや、ご飯の大きさ大・中・小と味噌汁の種類を聞かれる。
あとは陳列ケースを見て、好きなおかずを決めればいい。
まず大衆食堂とは、めしと汁がうまいことが絶対条件。
文句などございません。
徹夜明けでここの貝汁などすすると、 ジュワ~っと荒れた胃壁に
沁み渡ります。 「ええだし出たぁんなぁ~」
おお、また豪華な造りやわい。 こう来たら一杯飲まん訳には行かんが、
今日は朝飯を食いに来たので、ビールは封鎖。
ビール飲むと、ご飯が入らんようになる。
バブルの頃な。
ミナミの深夜族は朝方まで騒いで、
オネーチャン引き連れたまま、ここへ朝飯食いに来たもんである。
アタシャ、そんな恩恵こうむったことなどいっぺんもおまへんけどな。
名物のオムレツ。
中身はバターたっぷり、牛ひき肉と玉ネギ、シイタケ入った具。
ワインとコショーが香る。
ケチャップがどひゃっとかかるのが、いかにも大衆食堂。
そして…大衆食堂の大定番!
煮さば。
甘辛いタレがご飯に合う。
ビールでも酒でもない、これはメシしかない。
今ほど肉が一般的ではなかった時代、鯖は庶民には何よりの栄養食だった。
鯖喰ったし、さぁ働くかぁ~
そんな気にさせるのである。
木津市場を出たら、赤いポストがポツンと立っていた。
しばらく見なかったなぁ~お達者か。
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