北新地というと何故かステーキである。スエヒロ始め、京松、今は亡きオリンピック、ボビノ、ロン、神戸みその、A-1、ニューオークラ、クリスタル、堂島など、20軒ぐらいはすぐに挙がる。
そもそも大阪は牛肉処である。西に神戸牛、北に近江牛、東に松坂牛、伊賀牛と名だたる産地を控えている。長らく関西出張というと「牛肉が食える」と楽しみにされたものだった。
前菜 車エビ、アサリ、ムール貝、タラ白子焼
なぜ北新地にこれほどステーキ屋が多いのか。
ステーキと言わず、ビフテキ(昔はビステキと呼んだ)、テキと呼びたい。
トマトのグラタンスープ
本通と上通の間に蜆川が流れていて、両岸の土手が盛り場になった。
明治期、北の大火で川は埋められ、ひとつの花街になった。
昭和の初めには茶屋200軒、検番11、芸妓700人がいた。
ウネウネ…とうごめくアワビ(紀州産) 今にも殻を外して遁走しそう。
美味しく食べてやるから、観念せよ。
ワイン蒸しにし、トマトソース、ハーブバターで。
ステーキ屋らしからぬ一品。 アワビ柔らかい!
旬の野菜サラダ 柚子風味ドレッシングに塩昆布
極上黒毛和牛ステーキ 右は宮崎牛フィレ、左が佐賀牛サーロイン
フィレから。姿がいい。
ニンニク醤油、塩(仏・ゲラント)、ポン酢の3種類。
山葵と塩がいい!
すっかり焼肉屋にその座を奪われた格好のステーキ屋だが、
素材、技術、サービスでまだまだ王座奪還はできるはず。
たとえば、ステーキ屋の常識を破って境を越え、ホルモンなども彼らの解釈で焼いてみてはどうだろうか。
サーロイン 噛むとジュッと肉汁があふれ出る。
焼き加減は黙っていても、職人がピタリと焼き上げる。
肉の裁ち落し、脂身はこうして別に炒めて・・・
一口サイズのステーキサンドに。 これがバカうま!
ウイスキーをストレートで欲す。
脂身は香ばしく炒めて、玉ネギとサラダ仕立てに。
無駄なく端肉も大事に供する辺り、好感がもてる。
江戸時代にはすでに接待場所だったという北の新地。
多かれ少なかれ社用族が、ビフテキで客をもてなし、その後クラブ、スナックで接待。商談をまとめるという場だったのだろう。
接待がどんどん厳しくなり、ステーキ屋だけが残った。
北新地が元気でなければ、大阪の経済が上向くなどあり得ない。
客のペースをみて、長谷園の土鍋で炊くごはん。
炊き立てのごはんで、自家製カレーライス!痛快無比!
ステーキ屋のカレーは美味いのだ。
珈琲の濃度もいい感じ。
北新地でテキで接待を受けられるように、必死に仕事にまい進する。
これはこれで自由経済をまわすにはいいことのようにも思えるのだが。
接待されることなど極めて稀なこちらとしては、何かの記念日でもこさえて、奮発して出かけることぐらいしかない。
栗のアイスクリーム、パイナップルがここで登場した。
鉄板ステーキ パイナップル 北区曽根崎新地1 新地上通り