中国人の作家が日本語で小説を書き、芥川賞(2008年第139回)を取った作品ということで、一度読んでみたいと思っていた。
1988年の7月、中国西北部に住む謝志強、梁浩遠は大学への入学試験を受け、二人そろって、秦漢大学(架空の大学のようだ)に合格する。二人は将来の夢を語り合いながら、大学生活を楽しむ。ところが1989年6月(第2次)天安門事件が起こり、彼らは国を愛する気持ちから運動に参加していく。
運動の指導者として学生を指導する甘先生や、英露という女性活動家とも親しくなる。
民主化を求める運動は政府により弾圧される。ある日二人は飲み屋で運動をめぐって市民と論争となり、殴り合いとなって当局に逮捕され、大学退学処分を受ける。
梁浩遠は日本の残留孤児、梅と結婚して日本にわたり、東京で中国の民主化、香港の中国返還反対、北京オリンピック開催阻止の署名活動などを続ける。謝志強は、中国に残ってデザイナーとして生計を立てる。
しかし、1997年に香港が中国に返還さんれるや、世界の中国同朋が狂ったように喜ぶ姿を見ると、梁浩遠も心を動かさざるを得なかった。梁浩遠の運動への賛同者も一人一人と少なくなっていく。
2000年末に、亡命していた甘先生と英露が中国に帰る途上東京に立ち寄り、梁浩遠に会う。これから、小学校の教師として暮らすと言って中国に帰っていくところで物語は終わる。
この本の帯に「中国民主化勢力の青春と挫折」と書かれているので、政治的な展開になるのかなと思っていたが、ほとんど突っ込んだ展開はない。現代中国の大きな流れに抗しながらも、結局は、中国人として生きていかざるを得ない主人公たちが、淡々とほろ苦く描枯れていた。
読後、主人公たちによって歌われる尾崎豊の「I Love You」の切ない旋律が心の中に響いた。
(参考)
1989年11月 ベルリンの壁崩壊
1991年12月 ソ連邦解体
2001年7月 北京オリンピック開催決定
読んだ事がないですが
香港が返還になり、、まあもともと中国領なのですが、、中国化していくのは
どうなのでしょう、、
中国人は 情報統制下で 生活しているから
以前の香港のように
開かれた世界がみられるところが
(いいばかりの 世界ではないですが)
あった方がよかったとも いえませんか、、
他の世界をしって 不満をもつ、、という
ことが 幸せかどうかはわからないけど
いいこともわるいことも 規制なく
知る事ができる自由は
いちばん重要な事では、、と思います~
sonyなどの日本製品が苦戦をする中で、中国製の格安スマホが猛烈に売れているようです。
激動する中国の動きからは目が離せませんね。