リンボウ先生の最近著「節約の王道」を読んだ。サッと読める、さわやかな本である。「金をおろすなら3万4千円に限る」というユニークな帯が付いていた。リンボウさんは「節約は楽しい」という。週に2回スーパーに行き食材を買い、冷蔵庫に保存すると必ずそれを全て使い切る。ちなみに家での料理は全てリンボウさんが作るという。これからがして私たちと違うが、その料理の仕方が面白い。買ってきた食材はすべて使い切る、食べきるという。たとえば大根、ニンジン、ゴボウなどは皮と身の間に旨みがあるので、皮は剥かずそのまま調理する。ソラマメの皮は天ぷらにして食べる。買うときには10円20円でも安いものにこだわるのに、食材を腐らせたり、使い切らないのは「食費を無駄にする愚行」と切り捨てる。
しかも、大病した経験から、食事は野菜中心の料理を取り、節約と摂取カロリーの調整を同時におこなって、体重をコントロールするとある。
帯にある「3万4千円」というのは、万札を崩すと、すぐに財布からお金がなくなるので、できるだけ万札を崩さない工夫だとか。
ここまでなら、なるほどなるほど、と頷くことしきりだ。ところが後半から、少しどうかなと思った。それは「車を買うなら年収の1か月分」というくだりだ。それでリンボウさんは何を買うかというと、新車ではないが、1年ぐらいの新古車のベンツC200だという。これはネットで調べると300万円から350万円はする。というと年収は4000万円前後ということになる。これは、明らかに平均的なサラリーマンではもらえない給料であろう。祖父の代から、かなりの毛並みの家で育てられたようだ。安サラリーマンの生活などほとんど実感できないであろう。
教育の項では、節約論から離れて、人生論となる。人の最大の投資は「教育」だと位置づけ、子供の教育にはお金を惜しむな、塾への送り迎えは、妻と自分で行った。大学生になれば、アルバイトをさせるなと、展開する。年収4000万円もあるリンボウさん宅なら、確かにアルバイトをさせることはないと思うが、普通のサラリーマンでは、こんなことができる人は少ないであろう。
「何のために節約するのか」目的を持って節約せよと説く。「500万円貯めて将来5年後に語学留学する」とか具体的な目的を持って節約せよと説く。そして自分は「日本古典文学」というい北極星を持って生きてきた、、いつかは「源氏物語」の全訳を書きたいものだと、思っているとのこと。
病気にならないことが最大の節約だとして、朝晩の体重測定、ジムに行くより夫婦で45分の散歩している、これを毎日継続して健康管理に努めているとのこと。
最後に、「一番素晴らしい人生というのは、従容として死につくことだと思う」、生きていくということはどう死ぬかということだ、いつ死んでも後悔しない生き方する、ということこそが、人生を無駄にしないという意味で、究極の節約なのかも知れないと、締めくくった。節約論から始まったが、人生論であり、60歳を迎えたリンボウさんの今後の人生に対する新たな決意を述べた、ともいえる本であった。