森を吹きぬける凄い風で目覚めた。どんより曇った空。今にも雨が降り出しそうだ。外気温2度と暖かい。室温14度、湿度22%。それでも、薪ストーブには火を入れる。湯を沸かしコーヒーをいれ、アルビノーニのフルートソナタを聴く。
そのうち雨脚が強まった。風も強く、嵐のようだ。午前中は、フルート練習にぴったりだ。妻は、夕方にある「音楽んの集い」に向け、パン焼きに余念がない。
夕方から、清里のヤマガラさん宅で「音楽の集い」がある。その頃になると雨も止み、青空が見えてきた。第1部はリビングで、フランツ・シューベルト(1797-1828)作曲の「魔王」(1782年)についての講演があった。作詞は、ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ(1749-1832)
「魔王」が作曲された18世紀は啓蒙主義の時代であり、合理主義の精神が高まった。啓蒙主義は、他方で、宗教的寛容の精神も生み出した。モーツァルトのオペラ作詞家のラ・ポンテはユダヤ人だが、時の神聖ローマ皇帝ヨーゼフ2世はそれらを認めた。
父親は、息子を腕に抱えて森の中を馬で疾駆している。森の精霊の王、魔王は息子をさらっていこうと息子を誘惑する。息子には魔王が見えるが、父親には見えず、「霧の縞模様」「古い柳の木が灰色に光っている」としか見えない。しかし、恐ろしくなった父親は帰宅を急ぐが、屋敷に帰りつくと、息子は父親の腕の中で死んでいた。
父親は近代=合理主義精神の現れであり、息子は自然=前近代の象徴ともいえる。この詩は、理性=合理主義では解決しえないことがあると言うことの象徴ともいえる。それから話が飛ぶが、今日の原発事故のありようも、ある意味では同じことを象徴しているともいえる。
話の後はyou tubeで流されているさまざまな「魔王」の演奏や演劇を聴く。中にはジャズやアニメもあった。
講演のあとは、楽しい食事会だ。皆さん、食べ物、飲み物の持ち寄りだ。まずは、ドイツ白ワイン「ビュルガー シュピタル」で乾杯だ。実に豊潤で香り高く、甘い。(アッシー担当者はソフトドリンクで乾杯だ)
料理は、ミートローフ、散らし寿司、ビーフシチューなどなど盛りだくさんだ。
食事の後は、恒例の音楽会は、清里のヤマガラさんの軽やかなピアノ演奏ではじまった。続いて、ヴァイオリンとの二重はユーモレスク、アヴェマリア、タイスの瞑想曲など。
私も下手ながら、フルートでシューベルトのセレナーデ、トロイメライなどを演奏させていただいた。
演奏の次は、歌の合唱だ。昨年末に公演した「メリー・ウィドウ」から、ロシア民謡、イタリア民謡、愛唱歌など、皆さん朗々と歌い上げて、「音楽の集い」は最高潮に達する。最後は、紅茶とデザートでしめくくって、散会した。